軽さはスイフト優勢ながらホンダeはモーターならではの加速感
パワースペックはホンダe「アドバンス」が上をいく。だが、車両重量はスイフトスポーツのほうがはるかに軽い。ホンダeの「アドバンス」は、リーフ並みの1540kgであるのに対し、スイフトスポーツは6速AT車でも1tを切る車重だ。
だからパワーウエイトレシオではスイフトスポーツに分がある。ただし、モーターを積むホンダeは、アクセルを踏むと瞬時にパワーとトルクが盛り上がるから、力強さが分かりやすい。ホンダeは街中や市街地の流すような走りならノーマルモードで満足できる。
また、シングルペダルコントロールもあり、これをオフにして走れば通常のAT車の運転感覚だ。シングルペダルを作動させると、ブレーキを使う機会が大幅に減る。
慣れてくると、アクセルペダルを緩める操作をおこなうだけで停止まで減速を行うことが可能だ。強力な回生ブレーキも得られる。減速度の強弱をステアリングに付いているパドルで行う減速セレクターも、ワインディングロードや勾配のある走行シーンでは便利だと感じるだろう。
シームレスで滑らかな加速フィールは、モーターならではの魅力だ。スポーツモードを選ぶと加速に力強さが加わり、ボディが身軽になったと感じる。滑らかだから迫力はないが、Gを感じるほど力強い加速フィールだ。BMWのi3と同じようにリア駆動だから後ろ足で大地を蹴っている快感がうれしい。
ちなみにアルミのフレームとカーボンのフロアパネル、FRP製のボディなど、レーシングカーチックなBMWのi3は、ホンダeより200kg以上も軽く、さらにパワフルだから加速は冴えている。
これに対し、モーターの出力特性をマイルドにして扱いやすい味付けとするなど、ホンダeはトータル性能の高さで勝負を挑んできた。
スイフトスポーツは、ターボエンジンならではのパンチのある加速が自慢だ。軽量ボディと相まって、力強い加速を見せる。ターボは過給が早く、1速ギアでは油断するとホイールスピンを誘う。それほどパワーとトルクが気持ちよく湧き出るのだ。
3000回転から上では刺激的な加速フィールを味わえる。気持ちいいが、エンジン音は大きめだ。加速しても静粛性が群を抜くホンダeとは違う味わいになる。
ただし、6000回転でリミッターが作動して回転上昇を抑えるから高回転の伸びは期待できない。シンクロが強力な6速MT車は早めにシフトアップしたほうが実力を引き出せる。
ホンダeと同じ土俵で比較するなら電子制御6速ATになるだろう。6速ATもいい仕上がりだ。滑らかにギアがつながり、ワインディングロードやサーキットではパドルシフトを駆使しての走りが楽しい。
駆動方式が差をわける両車のハンドリング
操る楽しさを左右するハンドリングは、両車とも高いレベルにある。駆動方式は違うが、どちらも操る楽しさは格別だ。
ホンダeは、前後異サイズのミシュラン製スポーツタイヤや可変ステアリングギアレシオの採用と相まってヒラリとした身のこなしを見せる。
前方が見やすく、ドアミラーもないので視界はクリアだ。ワインディングロードでも遮られる部分が少ないからラインを読みやすい。また、ステアリングギアもクイックだ。気持ちよく向きが変わり、乗り心地も上質である。
バッテリーをフロアに敷き詰めたホンダeは重心が低く、足の動きもいいからコーナーではロールを意識させず、一体感のある走りを体感しやすい。リア駆動だし、モーターによるアクセルレスポンスも鋭いから、慣れないとリアが落ち着かないように感じる。
だが、ペダル操作に気を遣い、リアを安定させる運転を心がければ気持ちいい走りを楽しめるはずだ。ただし、積極的な走りだと発熱してクールダウンを指示されるEVの弱点も時として顔を覗かせる。
モンロー製のダンパーを採用したスイフトスポーツもリニアなハンドリングだ。切れ味鋭い操舵フィールを身につけ、ホットな走りでもロールを上手に抑え込んでいる。サスペンションの動きはしなやかだ。
タイトコーナーでもリアの追従性がよく、素直にクルマの向きが変わる。だからタイトコーナーでも狙ったラインに乗せやすいのだ。
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