ほしいクルマが多くあっても、予算や使い勝手、そして走りの楽しさなどさまざまな要素が絡み合って難しい部分。そこで今回は200万円まででお得な”いいクルマ”を紹介したいと思います。
しかーし、このカテゴリーに絡み合うのは「軽自動車vsコンパクトカー」という対決構図。高価格帯のターボモデルの軽自動車か、コンパクトカーか。その悩ましい選択をズバッと解決です。
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年2月26日号
■軽自動車も200万円に到達しそうだが”買い”はどれ?
【お値打ち軽自動車】
・ホンダ N-BOX
・スズキ スペーシア
・ダイハツ ムーヴ
2000年頃までは、ファミリーカーを選ぶ基準に「価格200万円以下」というのがあった。上級セダンのマークII(マークXの前身)でも、特別仕様車は199万円といった価格で売られていた。
この後、物価は上がらず世帯平均所得は下がったが、クルマの価格は上昇した。安全/快適装備、環境/燃費性能などが向上したからだ。
その結果、ファミリーで使いやすいセレナのようなミドルサイズミニバンの価格は、ベーシックなグレードでも250万円前後に達する。200万円以下は軽自動車とコンパクトカーが中心だ。
ただし今の小さなクルマは、空間効率が高まって居住性が優れ、荷物も積みやすい。4人家族で使っても充分な実用性を備える。
しかもボディが小さければ日常的な買い物に使いやすく、燃料代や税金も節約できるから、軽自動車やコンパクトカーを家族で使う世帯が増えた。
運転感覚の楽しいコンパクトカーのスポーティグレードも用意されるから、200万円以下の価格帯で選べる車種は個性が豊かだ。
昔のレビン&トレノのようなクーペはほとんどなく、セダンも選びにくいが、便利に楽しく使えるクルマが多い。ユーザーに優しい価格帯であることに変わりはない。
具体的に見ると、軽自動車では背の高い車種が注目される。筆頭はN-BOXだ。先代型と同じく車内の広さは軽自動車の最大級。
しかも現行型は内装が上質で、前後席の座り心地も大幅に向上した。荷室の床は低く、後席を畳めば自転車のような大きな荷物も積みやすい。
しかも緊急自動ブレーキを作動できる安全装備は、ブレーキだけでなくハンドルも制御して歩行者との衝突を避ける。
車間距離を自動制御できるクルーズコントロールも備わり、安全と運転支援の機能は普通車並みだ。
価格は標準ボディで割安なG・Lホンダセンシングが149万9040円、外観がカッコよく動力性能を1LのNAエンジン並みに高めたカスタムG・Lターボホンダセンシングは189万5400円になる。
新型のスペーシアカスタムXSターボも、価格は178万7400円で、運転支援の機能はN-BOXほど充実しないが、緊急自動ブレーキの性能は高い。
後席のスライドドアが不要なユーザーには、ムーヴカスタムRSハイパーSAIIIなどが適する。
価格は162万5400円だから、スペーシアのターボ仕様よりも約16万円安い。軽自動車は価格競争が激しいので、スライドドアや緊急自動ブレーキなどの機能に応じて価格帯が細分化されている。
■コンパクトカーで軽よりも積極的に選びたい車種とは!?
【お値打ちコンパクトカー】
・ホンダ フィット
・スズキ スイフト RSt/スポーツ
・マツダ デミオXD
・ホンダ フリード
・トヨタ シエンタ
そしてこの価格帯では、機能の充実したコンパクトカーも選べる。例えばフィットに1.3Lエンジンを搭載して安全/快適装備を充実させた13G・Lホンダセンシングは165万3480円だ。
軽自動車のターボエンジンを搭載したエアロ仕様よりも安い。N-BOXカスタムのターボと同程度の予算を用意すれば、181万5480円のフィットハイブリッドFに手が届く。
今の軽自動車は機能と装備が充実するから、標準ボディの価格はコンパクトカーのノーマルエンジン車、エアロ仕様はコンパクトカーのハイブリッドと同程度だ。
またクルマ好きのユーザーには、軽自動車のエアロターボ仕様と同等の価格で、コンパクトカーのスポーティグレードが買えることも魅力だろう。
スイフトRSt、スイフトスポーツ、デミオXDなどは、コンパクトなボディにパワフルなエンジンとスポーティな足回りを組み合わせて、峠道では機敏な走りを味わえる。高速道路の長距離移動も快適だ。
さらにベーシックなグレードになるが、1.5Lエンジンを搭載したコンパクトな3列シートミニバンもこの価格帯の選択肢に入る。
フリードGやシエンタXは、多人数で乗車でき、3列目を畳めば自転車なども積めて実用的だ。
以上のように180万~200万円には、満足度の高い軽自動車やコンパクトカーが揃う。多くのユーザーにとって、日本車の中心的な価格帯といえるだろう。