■モーターショーには日本からも多数出展
モーターショーについては、2018年開催よりVAMA(ベトナム自動車工業会)とVIVA(ベトナム輸入事業者組合)の共同開催となった。
会場でハノイから取材のため訪れていた、ベトナムのメディア関係者に聞くと、「これからは、ホーチミンとハノイで隔年開催となるのではないか」とのことであったが、2019年もホーチミンで開催されている(2020年は新型コロナウイルス感染拡大により中止)。
VAMA(ベトナム自動車工業会)の統計によると、2020暦年締めでのVAMA会員メーカーの年間新車販売台数は28万3983台(前年比マイナス7%)となった。
東南アジア各国の新車販売ではトヨタがトップを快走するケースが多いのだが、2020暦年締め年間販売台数では、トヨタが7万692台なのに対し、ヒュンダイが8万1368台(ヒュンダイの現地合弁会社はVAMA未加入)を販売しトップとなっている。
ホーチミンという大都市の様子を見ていても、街を走るのは二輪車が圧倒的に多い。四輪車の販売市場はまだまだ成長していくことを強く感じることができる。
そのような背景のなか開催されるベトナムモーターショーには、訪れた2018年の開催では日本、欧米など15のブランドが出展していた。
日系ブランドでは、トヨタ、レクサス、日産、ホンダ、三菱、スバルが出展していた。直前に開催されたパリサロンで衝撃的なデビューを飾った、ベトナムブランドである“ヴィンファースト”の出展も噂されていたが、フタを開けてみると出展はなく、トレードショー色の強いものとなっていた。
メルセデスベンツは新車のショーでもあるのに関わらず、認定中古車を展示即売していたし、ジャガー&ランドローバーは、展示車すべてが展示即売車となっており、結構な勢いで売れていた。
各ブランドが行うプレスカンファレンスは、日本の鉄道の時刻表のように、“次は9時23分開催”といった、日本を上回る分刻みで行われていた。
プレスカンファレンスでは、アジアのショーにありがちな、若い多数の女性によるダンスパフォーマンスが行われるだけでなく、カンファレンスの最後にはほぼすべてのブランドが、おそらく地元有名スターとおもわれるひとの歌が披露されていた。
四輪車へのメディアの関心もいまひとつのようなので、人気芸能人を会場に呼んでメディアを取材に呼び込み、できるだけ多く報道してもらい消費者に注目してもらおうとしているように映った。
なお、会場にはトヨタと激しく販売競争を展開するヒュンダイの姿がなかったのだが、現地合弁会社の“現代タンコン”はVAMA未加入というのがその理由となっているようだ。
■ホーチミンには多数のトヨタ車が
ホーチミン市内で見かける日本車は圧倒的にトヨタが多い。訪れた時は、大手、準大手を問わず、タクシー車両の多くはトヨタの新興国向けMPVとなる“イノーバ”ばかりとなっていた。
おもに最大手とされる“ヴィナサン タクシー”を利用したのだが、ドライバーがビシッと制服を着こなし、車内はフルシートカバーがかけられ清掃も行き届いていた。
ほかのアジア圏の国でも制服を着る傾向はあるのだが、いまひとつだらしないし、車内は結構汚れているのが一般的なので、まるで日本のタクシーに乗っているようであった
ベトナムでアルファードが発売となって間もないタイミングであったのだが、それまでベトナムにおける高級ミニバンとして、圧倒的な人気を誇っていた韓国起亜自動車のセドナを、すでに上回るような人気と勢いを感じるほど、ホーチミン市内で見かけることができた。
最新の状況では、トヨタだけを見ても、すでにベトナム国内では日本に先んじてカローラ クロスや、アルファードに加えグランエースもラインナップしている。市場規模に対しては、かなり積極的なイメージを感じるラインナップの充実具合に見えるので、それだけ有望市場と判断しているのかもしれない。
世界的には、先進国を中心にBEV(純電気自動車)をメインとした、車両電動化の動きが加速している。そのなかで、四輪車市場自体がこれから成長していくベトナムはひょっとしたら、一足飛びに電動車が急速に普及していくかもしれない。
新興国でBEVといえば、中国の存在が強いのだが、ホーチミンでは路線バスでは中華ブランド(内燃機関だが)は多く見かけたが、それ以外ではそれほど目立っていなかった(路線バスのBEV化でまず中華系は存在感をみせようとしているかもしれないことは否定できない)。
そんなことも考えていると、ベトナムの四輪車市場が今後どのような成長を見せてくれるのか、興味が尽きない。
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