■小気味よいシフトが可能なFFスポーツ! スズキ『スイフトスポーツ』
そこでスズキ『スイフトスポーツ』に目を向けよう。
FFなのでエンジンは横置き。その隣に同じく横置きのトランスミッションがある。このトランスミッションを操作するためにシフトレバーとはワイヤーで接続されている。つまり遠隔操作。
前出のS2000も、このあと紹介するマツダ『ロードスター』もFR。FRは後輪駆動に都合のいいようエンジンは縦置き。トランスミッションはエンジンの後ろに直結されるから、ちょうどシフト機構がシフトレバーに近く設計できる。ワイヤーではなくリンケージなどを介して、あるいは直接操作する機構になるわけだ。FFとFRでは当然異なる操作性となる。FFのシフトフィールではいかに正確にシフトできるか? が課題だ。遠隔操作だからね。
スイフトスポーツのシフトストロークはFFとしては短めだが、決してショートというほどではない。シフト操作そのものもスコン! と入る軽めのモノ。それでも各ギヤのゲートがわかりやすく、扱いやすい。クラッチも重すぎず軽すぎず、ストロークはシフトストロークとちょうど同調している。速いシフトワークにも余裕を持った正確なシフトワークにも自在に操作できる。これがスイフトスポーツのMTを優秀と判断する理由だ。
■総じて出来のいいマツダMT! そのなかでも特筆すべき マツダ『ロードスター』
で、FRのマツダ『ロードスター』。こちらもFRゆえS2000同様のキャラだが、ドライバーの着座位置とシフトレバーの位置関係に優れている。
筆者は小柄なのでシート位置を前にしがちだが、このとき引く方向のシフトで肘まわりの動きをシートサイドサポートに遮られることが多く、位置関係はとても重要と感じている。
これはテレスコピックの有無、さらにそのストロークも関係している。現行ロードスターにはテレスコピックが装備され、またシートスライドもその位置によって高さが変化するように設定されている。この細かな設定がシフトワークをスムーズに行うことに効いてくるのだ。ロードスターのシフトもショートで剛性感が高く、クラッチはやや軽めだがストロークとマッチしたよいものだ。
同じマツダのモデルでもFFの『アクセラ』もいいシフトだ。アクセラに限らず後継の『MAZDA3』も同じ。マツダはMAZDA3の全車種にMTモデルを設定していることが大きく寄与している。
必然的にMTの操作性開発に時間を割いているからだ。例えばクラッチを使わずにシフトアップダウンする操作も決まりやすい。トランスミッション内の構造的なもの、さらにワイヤー&リンケージ伝達の正確性など、設定機種が多いがゆえにしっかりと研究開発しているからだろう。
■FR以外にもある! 一度は乗ってもらいたいMT トヨタ『カローラスポーツ』&ポルシェ『ボクスター』
トヨタ『カローラスポーツ』もMTに力を注いだ1台。まずシフトレバーの位置が適切。ストロークは長めだが分かりやすく扱いやすい。初心者やMTシフトに自信のないドライバーにも優しいMTだ。
ポルシェ『ボクスター』はミッドシップ。エンジンはドライバーの後ろで後輪軸の前にマウントされ、その後ろにトランスミッションが直結されている。このためFF同様にワイヤーやリンケージを介して操作することになる。
操作感はアレッ! というほど軽くスポーツモデルにしてはストロークも少し長め、クラッチもストローク重さ意外に軽い。しかし確実に決まる。クラッチ使わずのアップダウンも面白いように決まる。トランスミッションの構造とワイヤー&リンケージの取り回し、さらにアクセルOFF時のエンジン回転の落ちるスピード。これらが絶妙にマネージメントされた素晴らしいMTだ。
※編集部注:現在国内で新車で購入できるモデルは、セミATのPDKのみとなる。過去にはMTモデルが販売されており、中古車市場には718ボクスター(6速MT)が流通している。
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