なぜスズキは日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲れない!? その理由に現役選行委員が迫ります

■COTYの選行委員もスズキに高評価をしているが……

 2017年のCOTYを見ると、スイフトを高く評価する人たちが相応にいた。スイフトは順位こそ4位だったが、60名の選考委員の中で、11名が10点満点を投じたからだ。

 この人数は1位になったXC60の9名を上回る。XC60では54名に達する選考委員が点を入れたのに、10点満点は9人しかいなかった。つまり2〜5位の配点が寄せ集まってXC60を1位に押し上げた。

 逆にスイフトは34名しか配点しなかったが、その内の11名が満点だ。少人数でも熱烈に愛されるのがスイフト。八方美人的に多くの人たちから好感を持たれたのがXC60であった。

2015年のアルトは存在こそ地味だが生活には不可欠な1台。その価値をRJCは判断している
2015年のアルトは存在こそ地味だが生活には不可欠な1台。その価値をRJCは判断している

 COTYの採点をそのまま市場動向に当てはめることはできないが、スイフトとスズキはいい方向にあると思う。現在の車両開発によって根強いファンを得ているなら、その共感を広げる戦略を立てればいいからだ。

 特にスズキの徹底した軽量化に基づく優れた燃費と軽快な走り、先進の安全装備、求めやすい価格はユーザーの理解と共感を得やすい。

 注意したいのは車両の機能や造形がひとつのコンセプトに凝り固まって硬直化することだが、スズキは低価格車のアルト、オフロードSUVのジムニー、車内の広いスペーシアやソリオなど、いろいろな性格の小さなクルマを扱う。従って硬直化も生じにくい。

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