■一般社会では難しい「安全」に関する課題も解決できる可能性を持つ
これから社会問題になる高齢者の増加への対応は、一般社会だと十分なケアができない。認知症になってしまうと赤信号すら認知できなくなる。かといってクルマを奪ったら日々の生活に苦労します。それじゃ、とばかり高齢者が安いコストで安心して移動できるようなモビリティを実現しようとした場合、さまざまな制限があって難しい。
個人的には「安全」という環境を作れることが最も素晴らしいと考える。ウーブンシティの中に保育園や幼稚園を作ったとしよう。当然ながら外部から無許可の車両や人は入ってこない。小さい子供が歩いている真横をぶっ飛ばすトラックなど100%ありえない環境になります。交通事故ゼロの社会を作れるのだから素晴らしい!
もちろん変質者や強盗の類いだっていない。そんなことしたらすぐ捕まります。参考までに書いておくと、アメリカやブラジル、東南アジアでは「ゲーテッドコミュニティ」という塀で囲んだ住宅地が当たり前になっている。ゲートに警備員を配し、住民と許可を得た人しか入れない。この中は治安の悪い国と思えないほど快適。
今後、我が国もさまざまなことを考えなければならなくなるだろう。いわゆる2極化というもの。
治安の悪い地域だって出てくるに違いない。幸い私の家の近隣はよい環境にあるけれど、それでも監視カメラを付けているし、空き巣や泥棒を想定した防犯対応もしている。クルマのカギだってすべて金属ケースに入れてます。さらに治安は悪化するかもしれない。
もしウーブンシティが成功し、トヨタ得意のカンバン方式や、総合的なエネルギー運用などの導入により生活インフラに必要なコストを下げられるのなら、こういったゲーテッドコミュニティをいろんな場所に作ったらいいと思う。自分の”街”のゲートをくぐったら、自分の家と同じようにリラックスできる。住みたい人は多いだろう。
中には「カメラなどで記録を残されるからイヤだ」という人も出てくることだろう。私はそういった考え方をする人って悪いことをしようとしている芽を持っていると考えます。家の中以外の行動なら、誰に見られたって問題なし! 交通違反以外の犯罪行為、普通の人ならしない。むしろ酔っ払って寝込んでも助けてもらえる(笑)。
学生時代、警察の居ない沖縄の小さい離島で夏を過ごしたけれど、その間、何の犯罪もありませんでした! もちろんカギを掛けている家なんかなし。クルマだってキー付けっぱなし。皆さん自分で島や社会のルールを守っている。悪ガキもいるけれど、誰かにダメージを与えるような犯罪行為をしたら必ず怒られる。快適でした。
ウーブンシティの「ウーブン」とは直訳すると「繊維の織り方」。150m方眼の街作りやトヨタのベースになった織機にも関係しているのかもしれません。
唯一の「う~ん」はトヨタの人ばかりになることか? できれば外部の人も住んでもらったらいいと思う。私も近隣にウーブンシティのようなゲーテッドコミュニティできたら住んでみたい。
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