“羊の皮を被った狼”。ごく普通のコンパクトカーをベースに、スポーティモデルに仕立てたスポーツハッチを、人々は敬意を込めてそう呼ぶ。
近年、純粋なスポーツカーは高価格モデルが多いなか、実用性を兼ね備えつつスポーティな走りを味わえるのも、スポーツハッチの大きな美点。
なかでも扱いやすいサイズで安価な、スイフトスポーツに代表されるBセグメントクラスのコンパクトスポーツハッチは、国産・輸入とも個性豊かで選択肢も豊富だ!
文:永田恵一/写真:編集部
ベストカー2018年3月26日号
国産スポーツハッチ注目の3台
輸入車を含むスポーツモデルは、日々の生活に必要性はない趣味性の高い車の評価なので、各車の長所を中心に挙げていく。
■日産 ノート e-POWER NISMO
回生が強く効くワンペダルドライブは専用の制御も含め、スポーツモデルだとコーナーでの姿勢作りが行いやすく、より大きい魅力。
また、シットリとした足回りの快適性や停止まで対応するACC(先行車追従型クルコン)の設定に加え、燃費もいいのでGT性能も高い。
■スズキ スイフトスポーツ
トルクの太さによる絶対的な速さ(ATとの相性は特にいい)や、安心して楽しめるハンドリング、乗り心地のよさやACCの設定によるGT性能の高さなど、つまらないという意味ではなく、ホットハッチの定番らしい優等生的な存在。価格も内容を考えれば激安だ。
■マツダ デミオ 15MB
この車はスポーツモデルというよりグレード名のとおり、モータースポーツベース車なのでノーマルカーは「ちょっとパワーのあるふつうのコンパクトカー」というキャラクター。
しかし、そのぶん価格が安く、チューニング費や競技に出るお金に回しながら普段も使えるというマニアックな楽しみ方が可能。
輸入車も独仏伊と選択肢豊富
■ルノー ルーテシア R.S.
パンチあるエンジンや適度にピリリとしたハンドリング、スポーツモデルらしいテンション高まる内外装の雰囲気など、ホットハッチのお手本のような存在。
また、サーキットも意識したシャシーカップだけでなく、公道に重点を置いたシャシースポールを注文生産で設定するというマニアックさも嬉しい。惜しいのはトランスミッションにMTの設定がない点だけだ。
■ルノー トゥインゴGT
それほど速いワケでもないので常識的なスピードでもパワーを使い切れる楽しさも持つトゥインゴGTの魅力は、よくも悪くもRR(リアエンジン、リア駆動)の個性を味わえる点。
高速道路の追い越し車線のペースでの直進や上りコーナーで気を遣う必要があるなど、RRの悪さはあるが、対照的に強力なトラクションとブレーキ性能の高さ、下りのコーナーだと安定性が高まるといったRRのよさをこの価格で体験できるのはコイツだけだ。
■VW ポロ GTI
1.8LターボというCセグメント(VWゴルフ等が該当)のスポーツモデルのようなエンジンを搭載するだけあって、エンジンの官能性能こそそれほどではないものの、太いトルクを生かした「シフトチェンジも少なく楽で速い」というポルシェにも通じる部分のあるドイツ車らしい走りを楽しめる。
難点はスポーツモデルらしいパッションに欠けることか。
■アバルト 595
ターボ車らしいエンジンフィールや切れ味鋭いシャープなハンドリングなど、「正しいか?」となると、そうとも言い切れないにせよ、適度にスパイスが効いた走りは実に楽しい。
それ以上にこのサイズで気品のようなオーラさえ感じさせるイメージのよさやブランド力の高さもアバルトだけの魅力だ。
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このようにホットハッチ各車はそれぞれ個性豊かな魅力を持っており、いい悪いではなく好きな車を選ぶのがいいと思う。
個人的にはこのなかからならGT性能とコスパの高さでスイスポのAT、それ以外もOKなら慣れるまでの数分は違和感を覚えるが、慣れるととにかく乗って楽しく、3ドアながら実用性も高いDS3のスポーツシックを選ぶ。
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