ハイブリッド車の4WD事情に大きな変化あり!?
かつては設定が少なく、性能的にもあくまで“簡易型”とされてきたハイブリッド車の4WDが、いま大きく進化してきている。
直近では日産の新型ノート e-POWERが2020年末に4WD車を発売。従来型に対して後輪のモーター出力を大幅にアップさせるドラスティックな“電動4WD”をデビューさせてきた。
そうは言うものの、やはり従来のイメージからすれば「いわゆる電動4WDって本格的な雪道でも使えるの?」という点は気になるところ。果たして最新の電動4WDは、雪道などでも使える性能を持っているのか? 以下、国沢光宏氏が解説する。
文/国沢光宏 写真/NISSAN、TOYOTA、編集部
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HVの4WDはプリウスですら長らく未設定! 技術的なネックは?
ハイブリッド車などに採用されていた、いわゆる「e-4WD」は、これまで極めて限定的な効能しか持っていなかった。
先代ノート e-POWERの4WDでいうと、後輪を駆動するためのモーターって僅か4.6馬力。46馬力じゃありません。プリウスの後輪モーターだって7.2馬力しかない。しかも走り出せば、後輪の駆動アシストはまったくなくなってしまう。
もう少し詳しく説明したい。エンジンで走るクルマの場合、FF車のフロア形状と4WDのフロア形状は決定的な違いを持つ。
4WDを作ろうとすれば、前に搭載するエンジンから後輪駆動用のドライブシャフトを床下に通す必要が出てきます。したがってFFと4WDに使う2タイプのフロア形状を作らないとならないワケ。
けれど、ハイブリッド車は、基本的にフロア形状のバリエーションを増やしたくない。そこでプリウスでいえば3代目まで4WDの設定なし。現行アクアだって4WDなし。
当然ながら降雪地域に住むユーザーから「4WDはないのか?」というプレッシャーを掛けられてしまう。そこで考えたのは、後輪に小さいモーター付けること。
多くのケースでスタート時にホンの僅か前輪がホイールスピンするだけで走り出せなくなってしまう。そこだけ後輪も駆動してやればOK。
滑りやすい雪道の発進性能を確保できればいいのなら、走り出しの数秒間、後輪を駆動してやればいい。圧倒的に発進性能は高くなります。ドライブシャフト不要。フロア形状だって変更しなくていい。ユーザーからすれば簡易型であってもFFより100倍安心ということになります。
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