高額車なのに! アルファードはなぜここまで売れている?

高額車なのに! アルファードはなぜここまで売れている?

 2021年1月登録車の販売台数ランキングでアルファードは1万台オーバーの3位! 絶好調に売れている。

 販売ランキング上位車は近年コンパクカーやベーシックモデルが並ぶのが常だが、2020年の登録車年間ランキングでもアルファードは5位。価格が352万~775万2000円という高額なクルマがこれほどよく売れているというのはバブル期のよう!?

 これほどまでにアルファードが売れているのはなぜなのか? 新車販売事情通ジャーナリストがその実情に迫る!

文/小林敦志
写真/ベストカー編集部、TOYOTA

【画像ギャラリー】2020年ミニバン販売台数ナンバー1! 『アルファード』の魅力を写真でチェック!!


販売ランキング3位で売れゆき絶好調のアルファード

 自販連(日本自動車販売協会連合会)より、2021年1月の登録車のみでの通称名別(車名別)新車販売ランキングが発表されると、業界にどよめきが起こった。なんと、アルファードが1万11台を販売して3位に入ったのである。

現行『アルファード』は2015年に発売された3代目となる。先代が確立・継承してきた高級感と力強さをさらに昇華している
現行『アルファード』は2015年に発売された3代目となる。先代が確立・継承してきた高級感と力強さをさらに昇華している

 カローラシリーズ、ノート、ライズ、フィットといった名だたる人気車よりも売れゆきが上回った。

 そして、下は2020年(1月~12月)におけるアルファードとヴェルファイアの月別販売台数の推移をグラフにしたものである。2020年のアルファードの年間販売台数は9万748台となり、2019年の年間販売台数よりも約2.2万台上乗せしていて、月販平均台数は約7560台となっている。

図1 2020年(1月~12月)におけるアルファードとヴェルファイアの月別販売台数の推移
図1 2020年(1月~12月)におけるアルファードとヴェルファイアの月別販売台数の推移

 さらにグラフをよくみると、1月から6月までの上半期販売台数は、3万6597台となり、月販平均台数は約6000台となっており、上半期は充分ヒット車と呼べる台数ではあったものの、それほど売れていたという印象を受けない結果となっている。

 下半期に入ると、9月に販売台数が急伸しており、2020年9月から12月の4カ月間(ちなみに12月以外は各月1万台オーバーを販売)での、月販平均台数は9650台と月販平均で1万台近くとなっている。2020年9月以降に販売台数が急伸したといえるだろう。

トヨタ販売店の全店併売化で主力車種に!

 「8月ぐらいだったと思いますが、そのころに本社(ディーラーの)から“アルファードを最低1台受注しなさい”といった指示を受けました」とは、某トヨタ系ディーラーセールスマン。

 もともと、2020年5月にトヨタが4チャンネル(トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツ)あるトヨタ系ディーラーの全店舗で一部を除く(センチュリー、JPNタクシー、コースターなど)、ほぼすべてのトヨタ車を扱う全店併売化をスタートさせた頃から、トヨタとしては、アルファードを販売主力車種と位置づけていたのでは? とは業界事情通。

 「全店併売となった5月にそれまでアルファードを扱っていなかったカローラ店に行ってみると、ショールーム内の目立つところに、かなり大判のアルファードのポスターが貼ってありました。聞いてみると、目立つところに貼るようにいわれたとのことでした」。

リセールバリューのよさもアルファードの魅力

 売る側が積極的になったところで、買い得な特別仕様車でも支払総額で500万円を超えるケースも多い高額車なので、それだけではここまで多くは販売できないだろう。

 前出のセールスマンは「例えば、ヴォクシーを購入車種として商談している時に、ローンプランのご提案をお客様にする時に、『月々の支払い額に少し足すとアルファードが買えますよ』とお客様にご案内すると、多くのお客様はアルファードに購入車種のご変更をされます」と話す。

リセールバリューがよい『アルファード』は残価設定ローンを組むと、残価設定率が高いのでヴォクシーに少しプラスした額で月々の支払を設定できる
リセールバリューがよい『アルファード』は残価設定ローンを組むと、残価設定率が高いのでヴォクシーに少しプラスした額で月々の支払を設定できる

 続けてそのセールスマンは「アルファードはリセールバリューが抜群にいいので、残価設定ローンを組んでいただくと、当該車種の残価相当分を支払最終回に据え置くのですが、この残価相当分がかなり膨らむので、結果的にヴォクシーに“ちょい足し”するとアルファードが買えてしまうのです」と話してくれた。

実はディーラーにとっても魅力的なクルマ

 さらに、アルファードは売る側にとっても魅力満載なのである。

 前出の事情通は以下のように話す。

 「高額なアルファードはディーラーにとっても“高収益車種”となり、ヴィッツやパッソ、ルーミーを売るよりも、得られる利益が格段にいいのです。

 さらに現場で話を聞くと、アルファードはローンを使っての購入、しかも500万円ぐらいを元金にするフルローンが多いので、ディーラーが提携信販会社からもらえるバックマージンも多く、当然ディーラーローンを使ってもらい新車販売したセールスマンへのマージンもかなりいいと聞いています。

 そのうえ、ディーラーは受け取ったバックマージンの一部を車両値引き支援にまわしますので、購入するお客にとっても値引き拡大という恩恵が受けられます。

 ですから用品値引きや下取り査定額の上乗せなどもあり、年度末決算セールのような“増販期”では70万円引きなどの値引きも意外とあっさり提示されることもあります」。

余裕のある“おじいちゃん”世代にも人気

 また、アルファードは現役子育てファミリー以外に、息子や娘夫婦とその子ども、つまり孫と三世代でドライブに行きたいというセミリタイアやリタイア層の男性、つまり家族に“おじいちゃん”などと呼ばれる層の需要も昔から目立っている。

 そうなると、現在は年齢が65歳以上だと“サポカー補助金”が受けられるので(アルファードは対象車)、仮に値引きを70万円引きまで引き出し、サポカー補助金の交付を受ければ、事実上80万円引きで購入することも可能。

 少なからず、裕福なセミリタイア&リタイア層の旺盛な購買意欲もアルファード人気に影響しているようである。

 さらに、同じ高収益車のハリアーは最長で今のところ納車が初夏になってしまうのではないか、という納期の遅延状態になっている。

 トヨタの人気モデルは納期遅延車が目立つのだが、アルファードは最上級グレードの「エグゼクティブラウンジ」以外では工場出荷目処が1~2カ月と短めになっている数少ない人気車。そのため、セールスマンもアルファードをついつい薦めて、それが売れてしまうのかもしれない。

トヨタ店ではクラウンから乗り換えるケースもある

 過去にクラウンを専売していたトヨタ店も、2020年5月からの全店併売で新たにアルファードを扱うようになったのだが、ここ最近のクラウンは大昔のクラウンとは異なり、従来のクラウンユーザーにはクセの強いスタイルになった。

1990年を天井に販売台数の下降を続ける王者『クラウン』。15代目となる現行型はスポーティーを前面に押出し若返りを図ったデザインになる
1990年を天井に販売台数の下降を続ける王者『クラウン』。15代目となる現行型はスポーティーを前面に押出し若返りを図ったデザインになる

 それに、前述したように親子三代で移動したいという年配層のニーズもあり、アルファードがトヨペット店専売だった頃から、クラウンからアルファードに乗り換えてしまうケースも多かった。

 そのためトヨタ店では現在、クラウンからアルファードへの乗り換えが自分の店内でできるようになったことにより、クラウンからアルファードへの“代替え”も目立ってきたとも聞いている。

4月に改良予定あり! 改良前の大セールか!?

 とにかく、どっかで聞いたようなフレーズだが、「早い(納車が)」、「安い(値引きが大きい)」、「おいしい(リセールバリューは鉄板もの)」と三拍子揃っているところが、これだけアルファードが売れている背景といっていいだろう。

 ヴェルファイアについては、「自販連統計を見てもおわかりでしょうが、アルファードと販売台数で大差がついています。ここまで販売が低迷するとリセールバリューのダウンも避けられないので、よほどヴェルファイアを気に入られていないかぎりは、アルファードを今では薦めるようにしております」(前出セールスマン)。

2008年に販売開始した『ヴェルファイア』は、ネッツトヨタ店の専用ブランド車種として誕生した生い立ちがある
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