「松本走りはやめましょう」。5月13日、こう発言したのは長野県の菅谷昭・松本市長。“松本走り”とは、交差点で対向車が迫っているのに強引に右折する、というものだ。
“直進車が迫っている”状況なら、右折車の行為は危険極まりない。大津市の園児を巻き込んだ悲惨な事故も、直進車と右折車の接触が原因だ。
調べてみると各地には松本走りのような「ローカル運転ルール」なるものが根づいているようだ。それもほとんどが松本走り同様の右折がらみのルール(習慣)。
なぜ多いのだろうか? 自動評論家の国沢光宏氏はこう話す。
「道路事情が悪く整備されていないからです。地方部ではまだまだ右折レーンがない交差点が多い。そこでは信号がすぐ赤になるので右折できても一台ずつ。早く曲がりたくなるのが心理でしょう。だから、危険行為をなくすには道路構造の見直し(信号のタイミングなども含め)が急務。国には急ぎやってほしい」
直進車/右折車がらみの事故はほぼ交差点で発生。交差点事故の割合は約54%にものぼる。交差点事故の怖さを認識しつつ、その元凶になりうる「ローカル運転ルール」を追ってみた。
※本稿は2019年6月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年7月10日号
■茨城ダッシュ(茨城県)
「運転マナー悪い県」(Jタウンネット調べ)第5位の茨城県。「茨城ダッシュ」とは前項までに頻繁に登場した、直進の対向車より先に“ダッシュ”で右折すること。納豆のごとく粘って待ちましょうよ!
■伊予の早曲がり(愛媛県)
「伊予の早曲がり」とは、交差点を右折する時、対向車が直進するより先に右折すること。危険というより違反。松山市の人へ聞いてみた。
「最近インターネットやテレビからの情報で、“これは問題なんだ”と気づいた人がいるようです。ただいまだにやっている人、多いよ」。
市内には『伊予の早曲がり禁止』という巨大看板も目立つ。
■大阪(関西)走り(大阪府)
信号のローカルルールとして「青は進め、黄色は進め、赤は気をつけて進め」。
信号無視、割り込みが目立ち、場所によっては二重駐車は当たり前。最近は減っているようだけど……。
■岡山ノーウィンカー(岡山県)
交差点で右折ウィンカーを出すと、直進対向車が右折させないようにわざとスピードを上げるので、右折車はウィンカーを出さない(←余計に危険)。
非常に困った悪習慣だ。
■鶴ヶ島ルール(埼玉県)
埼玉県鶴ヶ島市発祥の、埼玉県中部に根づく運転ルール。
「要領よく運転すること」を指し、たとえば再び登場の、交差点ですばやく右折すること。もうね、急がば回れです。
■名古屋走り(愛知県)
名称はかなり有名な名古屋走り。その中身は……、
①青信号はもちろん進む。黄信号でも交差点に突っ込む。赤になった瞬間も突っ込む場合もある。
②ウィンカーを出さずに右左折、車線変更。
③左折する対向車の前に強引に右折。
④交差点の右折レーン、前に並んでいるクルマより強引に先に右折する。
⑤右折レーンから信号が変わった瞬間、直進レーンに割り込む、など。
どれも危険すぎます!
■なまら車間泥棒(北海道)
これもほかと同様、交差点で直進車がくる前に「車間がある」と判断しての右折らしい。なまら(凄く)危険よ!
また北海道にはウィンカーを出さない「蝦夷ノーウィンカー」も根づく。
コメント
コメントの使い方しっかりと取材して記事を書いてください。
大阪ミナミの二重駐車なんて30年以上昔の話しで、その後は駐禁と取り締まりが厳しくなってとっくの昔に絶滅していますよ。