フォルクスワーゲン(VW)ゴルフ、日本ではスバル インプレッサやマツダ アクセラが該当する「Cセグメント」には、日欧さまざまな実力車が揃う。
コンパクトカーよりひと回り大きく、家族で使える実用性と安全性を持ちながら、ハンドルを握る者を楽しませる魅力をも併せ持つ。今買いの定番ハッチバックは?
文:国沢光宏/写真:編集部、VOLVO
ベストカー2018年3月26日号
安全性プラスαの魅力で圧倒のボルボ V40

Cセグメントから1台選べと言われたら、瞬時も迷うことなくボルボ V40にする。以下説明したい。
まず安全性がすばらしい。日本で販売されるボルボは、ベースモデルの『V40 T2』も自動ブレーキから、ブラインドスポットセンサー、バック時の後方警戒システムなど、安全装備がすべて標準。この車で事故を起こすのは難しいと思えるレベル。さらに歩行者エアバッグまで付く。
乗っている人の安全性だってこのジャンルじゃ圧倒的なトップ。なんせボルボはアメリカのスモールオーバーラップ衝突試験を、特別な対策なしでクリアした。自社基準が非常に厳しいということ。
安全性だけではありません。インテリアの質感や、2Lエンジンと同等の動力性能持つ1.5Lターボエンジンを搭載しており走りを含め文句なし。
決定的なのが日本車よりお買い得な価格だ。『V40 T2のナビエディション』は、ナビとドライブレコーダーを標準装備して299万円。
同等の装備内容にしたホンダ シビックや、スバル インプレッサスポーツ、トヨタ オーリス、マツダ アクセラスポーツより安いのである。
3〜5年後のリセールバリューまで考慮したなら、同じクラスの不人気車より実質的に100万円安いと思ってよかろう。
国産では安全と楽しさを両立のインプレッサ

2番手はインプレッサスポーツ(雪道走る機会が多いなら最低地上高200mmのXVをすすめておく)。この車も安全性と走る楽しさのバランスがすばらしい。
スバルの新世代シャシーのデキは、ドイツ車に勝るとも劣らない。ダンパーさえ交換してやれば乗り心地文句なし。
アイサイトやブラインドスポットセンサー付きなら、事故抑止効果高いです。ボルボV40と同じく歩行者用エアバッグを標準装備しているあたりもステキだ。
また、4WD性能が高いため、今シーズンのような大雪に強い。XVの車高を20mmくらい上げると、雪も悪路も怖いモンなし。夏場はオフロードっぽいタイヤ履くとカッコいい。
唯一にして最大の弱点がエンジンバリエーション。もう少しパワフルなエンジンを選べるようにしていただきたい。
3番手は実力派のアクセラスポーツ

もしロングドライブが多い使い方をするのなら、3番手はアクセラスポーツだ。ディーゼルエンジンなので燃費よく、優秀なアダプティブクルーズコントロール(先行車追従型クルコン)付き。自動ブレーキ性能は世界トップクラスである。
ただ、車としての面白み欠けるのが難点。質実剛健な実用車のため、ハンドル握っていてワクワクしない。飽きちゃうのだ。リセールバリューの悪さを含め、マツダ車すべてに共通する課題だろう。
その他の国産ハッチバックは?

国産車の次点はプリウス。といっても「デザインが気に入れば」という大きな条件を付けておく。一般的な評価からすれば、あまりにカッコ悪い。リセールバリューだって期待できないだろう。
ただ、実用燃費はすばらしいを通りこして「スゴイ!」と思う。普通に走って25km/Lくらいまで伸びる。世界最高の実用車だ。デザイン嫌いならC-HRにしておく?
また、ホンダ シビックは、性能からすれば割高。自動ブレーキのホンダ・センシングは、スバルやマツダと比べ性能で3ランクくらい落ちる。
車の陰から出てくる歩行者なんか検知できない(マツダは45km/hで自動停止)。それでいてナビなど必要な装備を付けるとV40より20万円以上高価になってしまう。ホンダの熱烈なファン御用達?
定番のゴルフは? 輸入車勢の評価

V40以外の輸入車はないのか? となれば「私からすればすすめられない」。今や自動ブレーキ付きじゃないと不安。誰でもミスは起きる。
フォルクスワーゲンとアウディは自動ブレーキ性能で大きく遅れており、30km/hからの自動停止すらできないようだ(詳細なデータなし)。
BMW 118iは割高。フランス勢の2車種(プジョー 308、シトロエンC4)も自動ブレーキ性能で厳しい。家族や知人に聞かれたら「やめといたほうがいいよ」と答えます。