クーペSUV的なシルエット最新トレンドに合わせて進化
「クーペSUV」とは、リアにかけてルーフを下げ、リアドアに傾斜をつけて寝かせたSUVのこと。ウィンドウの縦方向の高さを抑えて、キャビンを小さく見せるのが特徴だ。
国産のクーペSUVの代表格と言えば、トヨタ ハリアーだ。ハリアーはこの手のデザインを2代目あたりから採用しており、こうしたクーペSUVの流れを作ったクルマである。ほかにも、国内のモデルでいえば、CX-30などが「クーペSUV」と表現される。
海外メーカーを見れば、ポルシェ カイエンクーペ、BMW X4、メルセデスベンツ GLCクーペ、アルファロメオ ステルヴィオなど、この手のクーペSUVはたくさんある。
このクーペSUVこそが、いま最先端のトレンドだ。現行型よりも大きく傾斜させたリア部分も、荷室容量は旧型に対し、「ほどんど変わっていない(数字は未公表)」というホンダ広報のアナウンスなので、使い勝手も考え抜かれているのだろう。
新型ヴェゼルはこの方程式に乗り、なだらかなルーフラインを描いたキレイなクーペSUVスタイルとなっており、直感的には、「いいじゃないか!」と思える。
SUVなのに四駆ではなく「前輪駆動」推し
パワートレインは、現行ヴェゼルと同様の、1.5L i-VTECガソリンエンジンと、e:HEVを用意。グレード構成は、ガソリン「G」(2WD/4WD)、e:HEV「X」(2WD/4WD)、e:HEV「Z」(2WD/4WD)、そして最上級のe:HEV「PLaY」(2WDのみ)の7グレードだ。
4WDモデルは、4輪へ最適な駆動力配分をおこなう、リアルタイムAWDというシステムを採用したそうで、開発担当者によると、「現行型に対し、新型の4WDは非常に良い出来になった」と、かなりの自信を見せていた。
だが、最上級グレードに当たる「PLaY」にはFFのみ。最上級グレードであれば、4WD設定もあるものかと期待していたが、このグレードはあくまで、「おしゃれSUV」として展開するようだ。
広大な面積のパノラマルーフ、ワイヤレスチャージャー、9インチディスプレイを設定するなど、「快適性や使い勝手」の良いクルマではある。
そうなると、現行ヴェゼルにあるVTECターボエンジンのような「元気なホンダ」は、現時点では確認ができない状況だ。ただ、モデューロ仕様などの開発は当然行われていくものと考えられる。
新型SUVは「トレンド全部乗せ」
現行ヴェゼルの使い勝手は素晴らしい。コンパクトなボディなのに「想像がつかないほど」車内が広く、また、「想像した以上に」きびきび走る、そして「驚くほどに」燃費がよかった。
もちろん、それらは新型でも受け継がれており、後席シートを折り畳んだときの使い勝手の良さは抜群だ。ホンダの得意とする、センタータンク方式による実用的なパッケージングと優れた居住性は、新しく登場した、他社のSUVと比べて有利であり、依然として、ヴェゼルならではの魅力だ。
そして、e:HEVのなめらかさ、加速性能、音振、燃費も、「他社がマネすることができない技術」であり、新型ヴェゼルをさらに魅力的にするはず。
しかし、今回の新型はどうもデザインの面で、なんとなく「トレンドの良いとこ取りをして、全部乗せした」という感が否めない。
しかし、もちろんトレンドを掴まなければ、人気車にはなれない。デザインの面ではすこし残念ではあったが、中身をみれば、新型ヴェゼルの戦闘力は、相当に高い。それは、世に出て、ユーザーが触れてみればわかることだ。
ヴェゼルはホンダの国内市場における最重要車種であり、ここで冒険をするなど、ありえなかったであろう。
現在の日本市場では、ヤリスクロス、ライズ/ロッキーといったコンパクトSUVが依然として売れ続けている。手ごろなサイズと価格で、使い勝手も抜群。ヤリスクロスはハイブリッドが228万円(ハイブリッドX 2WD)と、エントリー価格も非常に安い。
新型ヴェゼルが、これら強敵とどこまで対抗できるプライスで登場するのか、楽しみなところだ。
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