走行距離に加え走行時間の長いタクシーは、LPG(液化石油ガス)に対応したエンジンを使うのが主流となっている。同じように燃費に有利なディーゼルエンジンもあるが、トラックはディーゼル、タクシーはLPGと二分化している。
時々タクシーしかいないスタンドを見かけることがあるが、これがいわゆるオートガスステーションといわれるLPG給油施設だ。
それでは、なぜLPGがタクシー燃料の主流となったのだろうか。LPGの優位性を考察する。
文/片岡英明、写真/ベストカー編集部
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■ジャパンタクシーもLPG仕様のハイブリッド!
日本のタクシーは、ここ数年で大きく様変わりしている。
都市部で主役を務めているのは、ユニバーサルデザインを採用したハイトワゴン型のジャパンタクシーだ。コンパクトミニバンのシエンタをベースに、後席に座って快適なタクシーに仕立てている。
ジャパンタクシーは、2017年秋に発売されるや瞬く間にタクシー業界を席巻し、隠れたヒット作となった。注目はパワートレインで、1.5Lエンジンにモーターを組み合わせたトヨタ自慢のハイブリッドシステムだ。しかも使用燃料は、LPG(液化石油ガス)なのである。
ジャパンタクシーが登場する前の主役は、トヨタのコンフォート(クラウン・コンフォート)とXS10系クラウンセダンだった。
小型タクシーとして開発されたコンフォートは、1995年にデビューしている。そのときの主役は2Lの直列4気筒OHVで、もちろんLPG仕様だ。また、2.4Lのディーゼルターボも設定し、こちらも人気が高かった。
タクシー業界で人気を二分していた日産も、この時期にはセドリックのほか、小型タクシーのクルーを用意している。
トヨタと同じように直列6気筒のガソリンエンジンもあったが、主役は2L直列4気筒のLPG仕様だ。タクシーだけでなく自動車学校の教習車にもLPG仕様が多い。ぜいたくな2.8Lの直列6気筒ディーゼルもラインアップしていたが、これは少数派だった。
それ以前に誕生したクラウンやセドリックのタクシー仕様も、中心となっているのはLPG仕様だ。
この時代は一般の乗用車をLPG仕様に改造する人も少なからずいた。LPG仕様は1960年代からあるが、一緒に市場を開拓してきたディーゼル車を蹴落としてタクシーの主役になっている。ディーゼルエンジンより静かで振動も少ないからだ。ガソリンエンジンと比べても経済性において優れている。
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