■BMW M5(E60型)
最後はBMW M5。2004年デビュー。歴代M5シリーズのなかで唯一V10エンジンが搭載された。5.0Lで507psを発生する。通常は400psだがMモードスイッチONでエンジンは豹変し507ps!
それまででも(400ps)充分にパワフルだが、スイッチONした瞬間にワープするように8250rpm。その豹変ぶりがクセになり、何度も400psと507psを行ったり来たり。
このV10エンジン10連スロットルを採用。他のエンジンはハイパフォーマンスでもほとんどがシングルスロットル。
つまり、アクセルの開閉を一枚のスロットルバルブでおこない、そこからマニホールドに分けられて各気筒に空気が流れてゆくのだが、M5は各気筒に一枚ずつスロットルバルブが存在する。これレーシングエンジンと同じ構造なのだ。
筆者自身、F3000でのコスワースDFVもV8なので8連スロットルだったが、アクセルON/OFFの切れが良い。
特にアクセルをOFFした時に瞬時にエンジンのランが止まる感じ。各気筒への空気の流れ(入り/切り)を均一化できるメリットがある。スライドバルブ式とバタフライ式の2種類があり、M5はバタフライ式だったはず。
いずれにしても強力なリターンスプリングが必要で、マルチシリンダーのレーシングカーでは股関節炎を起こしそうなくらいにアクセルが重かったことを記憶している。M5ではそんなことはなかったのは、技術の進化だ。
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さて、このように将来もう現れることはないだろうマルチシリンダーエンジン。電動化とのコラボでどのように変遷を重ねてゆくのだろう? という興味もあるが、あの感動を体験できただけでも幸せだった。
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