空前の株価高騰はじゃぶじゃぶ 金余り現象? 資産価値の高い中古車は今後暴騰する!!!

■節税需要の高まりが値段を押し上げる

フェラーリのような高級スポーツカーにも需要が集まり、価格が高騰している(写真はフェラーリ458イタリア)
フェラーリのような高級スポーツカーにも需要が集まり、価格が高騰している(写真はフェラーリ458イタリア)

 ではどのようなメカニズムで日本でも中古車の値段が暴騰するのだろうか。まず一つ目は「中小企業の節税需要の高まり」である。

 あなたが仮に中小企業の経営者だったとしよう。今年は様々な給付金などもあって予想よりもコロナの影響は少なく、2000万円の利益が出て400万円の法人税を払う予定。だが来年は赤字になるかもしれない。その時のために備えがあるといいのだが…。そう思うのは人情だろう。

 そういう場合、気の利いた税理士だったらこうアドバイスする。

 「3年10か月落ちもしくはそれより古い、値段の下がらなさそうな2000万円の中古車を買いましょう。そうすると今年400万円の法人税を納めなくて済みますし、来年赤字になったときの備えとしてクルマを売却して資金繰りを楽にすることもできます。」

 これはいったい、どういうことか?

 企業が保有する通常の資産は時間の経過とともに価値が目減りする。その資産の価値の減少を税務会計上認識することを減価償却という。資産の種類ごとに目減りの早さ(=耐用年数)が税務上定められていて、6年経ったらどんな新車も価値は1円になるとされている(軽自動車は4年)。

 そして中古車の場合は3年10カ月落ち、もしくはそれより古いとどんなに高くクルマを買っても最短1年で価値が1円になるとみなされる。

 上記の例では、中古車を買うだけで約2000万円をその年の費用として計上でき、今年の2000万円の利益がゼロになり、儲かっているのに400万円の税金を納めなくて済むことになるのだ。

 仮に2000万円で買ったクルマに1年乗って1800万円で売れたとしよう。価値が1円で認識されているので売ると利益が約1800万円出てしまうが、再び4年落ちのクルマに入れ替えることにより売却益が次のクルマの減価償却費用でまた相殺されて1円も税金を払わないでよい、ということになる。

 また仮に懸念した通り翌年赤字になってしまった場合は1800万円のクルマの売却益と赤字が相殺出来て利益が圧縮されるため、支払うべき法人税が節税できる。

 何もしないと400万円の税金を払い、カッコいい中古車を買うと買値と売値の差の200万円しか払わずに済む。これが儲かっている中小企業の経営者が値落ちのしにくい中古車を頻繁に買い替える理由なのだ。

 このような力学が働くことから、今は儲かっているけれど先行きに不安が広がるような現在の状況では値落ちしにくい中古車への需要が高まり、価格がさらに上昇しやすくなる。

■海外からの需要と円安による値上がり

 また海外でモノの値段が上がり始めた場合、海外に持って行く費用をかけても日本から中古車を輸入した方が割安、ということになると日本の中古車が海外にどんどん流出していく。

 現在は全般的に円安が進んでおり、1年前には1ポンド135円だったのが150円になっている。イギリス人から見ると現在日本のクルマは昨年買うよりも1割以上オトクに買えるということだ。日本で流通しているグローバルに人気のあるクルマの価格が押し上げられる要因となる。

米ドル、ユーロ、なかでもイギリスのポンドで円安が進んでいる
米ドル、ユーロ、なかでもイギリスのポンドで円安が進んでいる

■今後価格が高騰しそうなクルマはどれ?

メルセデス・ベンツ GクラスのG350d Heritage Edition。463台限定で発売され、2018年4月発売当時の価格は1190万円。この後、2018年6月に現行モデルに切り替わっている
メルセデス・ベンツ GクラスのG350d Heritage Edition。463台限定で発売され、2018年4月発売当時の価格は1190万円。この後、2018年6月に現行モデルに切り替わっている

メルセデス・ベンツ Gクラスの中古車情報(価格帯:800万~1000万円クラス)はこちら!(リンク先)

 では将来価格が高騰すると考えられるクルマはズバリどれだろうか。それは「将来値落ちの幅が小さいと考えられる節税効果の高いそれなりに高価なクルマ」「海外からの人気が見込まれるクルマ」に他ならない。

 前者の代表例がメルセデス・ベンツのGクラス。例えば先代Gクラス2017年式、すなわち4年落ちのG550ロングは低走行車だと現在売値は1000万円前後。2015年式だと相場は800万円台前半から900万円前後。2年古くなってもほとんど値段が落ちていないことが分かるだろう。

 現行Gクラスも納期が半年以上先ということ、意外と狭い道もある都内の高級住宅街を運転する奥様方にとっては全幅193㎝という現行モデルのサイズ感と強すぎる押し出し感のせいで先代の方がいいという声も少なくなく、高い人気が続くため値落ちも限定的とみられる。

 よく芸能人がゲレンデヴァーゲンに乗っているが、それはもしかすると単にゲレンデが好きだから、という訳ではなく売れっ子芸能人でいる間の節税対策、そして売れなくなって収入が減った時の保険的な意味合いで買っている可能性も高い。

先代Gクラスの中古車は値落ちが少ないことで知られている。今後も高値安定なのか?
先代Gクラスの中古車は値落ちが少ないことで知られている。今後も高値安定なのか?
現行モデルのG350d。新車価格は1237万円。ボディサイズは全長4660×全幅1930×全高1975mm。搭載するエンジンは286psを発生する3L、直6ディーゼルターボ
現行モデルのG350d。新車価格は1237万円。ボディサイズは全長4660×全幅1930×全高1975mm。搭載するエンジンは286psを発生する3L、直6ディーゼルターボ

 そして後者はグローバルに市場性の高いクルマ。

 フェラーリF355のMTやNAエンジン/ピニンファリーナデザインの458イタリア、ポルシェ空冷最終型993のMTなどグローバルに引く手あまたなアイコニックなエキゾティックカーに加え、JZX100系チェイサーや80スープラ、ランエボVIIIなど海外でも人気の高い旧車がそれにあたる。

 有名フェラーリ専門店の店長いわく、あまりクルマに強い興味がない企業経営者が「おカネもあるので値落ちしないクルマを」といってフェラーリを買いに来るケースが最近多くなっている、とのこと。

 おカネ余りのせいで程度のいいF355はもう1800万円で買えるか買えないか、というところまで来ており、クルマ好きなサラリーマンが貯金握りしめてF355を男の84回ローンで買う、みたいな勇者にはもう手の届かない世界へ行ってしまったそうだ。

 日本の中古車は状態が良いというのが世界的な定説で、CORNESやミツワ自動車のステッカーが貼ってある車両指定で買いに来る海外バイヤーも多くなっているそうで、円安が進めばこれらのアイコニックなクルマへの需要が強くなるのは必至だ。

フェラーリ F355。程度のいいものは1800万円で買えるか買えないかのところまで高騰中
フェラーリ F355。程度のいいものは1800万円で買えるか買えないかのところまで高騰中

フェラーリ F355の中古車情報はこちら!(リンク先)

写真右が中古車価格が高騰中の993型ポルシェ911カレラ4S。写真左はナローポルシェ
写真右が中古車価格が高騰中の993型ポルシェ911カレラ4S。写真左はナローポルシェ

 空冷バブルが続くポルシェ911の中古車相場。写真右の993型カレラ4Sは新車価格が1996年当時1175万円だったが、今や5万km走行で1700万円以上している。

993型ポルシェ911(1994~1997年式空冷911)の中古車情報はこちら!(リンク先)

JZX100系チェイサー ツアラーVも2020年6月に比べ5割近く高騰しているという
JZX100系チェイサー ツアラーVも2020年6月に比べ5割近く高騰しているという

JZX100系チェイサーの中古車情報はこちら!(リンク先)

 2020年6月に本サイトで取り上げたJZX100系チェイサーの中古価格も、当時から1年経たないうちに5割近く値上がりして、現在200万円を超えてきている。

 これは例の25年ルールのせいで1996年式チェイサーが今年からアメリカに簡単に輸出できるようになったことが大きく、海外からのニーズが日本の中古車価格を押し上げているという最も分かりやすい例である。

 もしあなたが今狙っている中古車があって、買うべきかどうか悩んでいるのであれば今がバブル相場前の最後の買い時かもしれない。

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