専用タイヤじゃなきゃいけないの!? 普通とは違うの!? SUVのタイヤ選びで気を付けたいポイント

■代表的なSUV用タイヤの銘柄

　昔からの定番といわれているのがBFグッドリッチの「オールテレーンT/A KO2」でしょう。いかついオフロードの匂いをぷんぷんさせながら、じつはオンロードでのロードノイズは意外に少なめで、乗り心地も（案外）良好です。

　このタイプは最近増えていて、トーヨータイヤだと「オープンカントリーR/T」があります。M/TとA/Tの中間の設定です。ヨコハマでも「ジオランダーX-AT」というマッシブなデザインのタイヤが用意されています。このほか、意外にオフロードタイヤのラインナップが豊富なのがミシュランです。「ラティチュード・クロス」はM/T寄りのA/TにカテゴライズされるタフなSUV用タイヤです。

　これらのタイヤはオフロード色の強いSUVや本格クロスカントリー4×4向けのタイヤですが、オンロードでの実用性も考慮されているので、ドレスアップアイテムとしての使い方も十分できます。

　SUVがどんどんオンロード指向になっているため、選ばれるタイヤもH/Tやそれに属するタイヤが増えています。

　その最たる例がハイパフォーマンスSUV用のタイヤでしょう。これはたくさんの輸入メーカーから発売されていて、ミシュランの「パイロット・スポーツ4 SUV」、コンチネンタルの「コンチ・スポーツ・コンタクト5P SUV」、グッドイヤーの「イーグルF1アシンメトリック3 SUV」、ピレリ「スコーピオンZEROアシンメトリコ」などが挙げられます。特に欧州のインフレ気味のパワー競争に陥ったウルトラハイパフォーマンスSUV用のタイヤというわけです。

　このほかオンロードでの快適性を重視して作られたタイヤもあります。ブリヂストンの「アレンザ」ブランドはまさにオンロードユースに絞ったSUV用タイヤです。

■乗用車用のタイヤをSUVに使っても大丈夫?

　いろいろ調べてみると、各メーカーともさまざまなタイヤをSUV用タイヤとして発売しているのですが、そんな中でちょっと気になるものがありました。明らかに乗用車用サマータイヤなのにSUVにも装着可を謳っているタイヤです。

　乗用車用のタイヤをSUVに使ってしまって問題はないのでしょうか？ これは公式な回答としてメーカーエンジニアから聞いたわけではないのですが、最近のモノコックボディのオンロード色の強いSUVなら、荷重指数的には十分余裕があるので、オンロード用タイヤの装着も十分に可能とのことです。

　いわれてみれば、スタッドレスタイヤなど共有しているタイヤもあるし、最近のライトSUVのベース車はBセグメントやCセグメントの乗用車ベースですから、確かに問題はなさそうです。しかもFFでオフロードには足を踏み入れないというのであれば、オンロードタイヤは十分選択肢となりえます。

　そもそも乗用車的な乗り味のSUVなら乗用車用タイヤとのマッチングはいいはずで、より快適な乗り心地を作り出すことができるかもしれません。ただし、どんなタイヤでもOKというわけではありません。メーカーが推奨していないタイヤを装着するのは安全性、その他の問題でお勧めできません。

　それからもうひとつ注意したいポイントがあります。SUV用タイヤにはほとんどM+Sのマークが刻印されています。これは冬用タイヤの認証のひとつなのですが、実際のところはほとんど氷雪上性能は期待できません。中にはオールシーズンタイヤレベルの性能を備えているものもありますが、サマータイヤをほとんど変わらないものも少なくありません。性能の基準がないので、性能はメーカー任せというのが実情です。

　M+Sマークがついているからといって不用意に雪道に入り込んでいくと走行不能に陥る可能性もありますから注意が必要です。冬用には、やはりスタッドレスタイヤやウインタータイヤをお勧めします。

　こんな具合に、いざタイヤを交換しようと考えたとき、本格的なオフロードタイヤから、オンロード用乗用車タイヤまでさまざまなタイヤを候補に挙げることができます。

　オフロード用タイヤであれば、タイヤ選びはほぼ自由とか考えていいと思います。用途や好みで自由に選んでいいと思います。気になるのは乗用車用タイヤの転用です。これらのタイヤを選ぶ場合は必ずラジアルタイヤのウィークポイントは考慮しておくことが必要だと思います。

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