カローラらしくないカローラ!? 異端児ルミオンに課せられたものとその顛末【偉大な生産終了車】

カローラらしくないカローラ!? 異端児ルミオンに課せられたものとその顛末【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ カローラルミオン(2007-2015)をご紹介します。

文/伊達軍曹、写真/TOYOTA

【画像ギャラリー】箱型・2ボックスタイプの「カローラ」!! カローラルミオンをギャラリーでチェック!


■ユーザーの高齢化を打開するため登場した「箱型カローラ」

 代を重ねるごとにユーザーが高齢化していた「カローラ」ブランドに新たなファンを取り込むため、北米から呼び寄せられたトールワゴン。

 その魅力は一部の層には伝わったものの、「カローラのブランドイメージとユーザー層を激変させる」という大活躍をするまでには至らず、1代限りで消えていったモデル。

 それが、トヨタ カローラ ルミオンです。

 2007年10月に発売されたトヨタ カローラ ルミオンは、北米ではサイオン(北米トヨタの若年層向けブランド)の2代目xBとして販売されたトールワゴン。

トヨタ カローラ ルミオン。全長×全幅×全高は4210mm×1760mm×1630mm。カローラの系譜としては初の3ナンバーサイズモデルとなった
トヨタ カローラ ルミオン。全長×全幅×全高は4210mm×1760mm×1630mm。カローラの系譜としては初の3ナンバーサイズモデルとなった

 2003年に北米で発売となった初代サイオン xBは、初代トヨタ bBを北米向けデザインに仕立て直したバッジエンジニアリング車でしたが、2代目サイオン xBは、2代目トヨタ bBのバッジエンジニアリングはなく、トヨタ オーリスのプラットフォームを使ったやや大きめな小型トールワゴンでした。

 その2代目サイオン xBを、冒頭で申し上げたとおり、高齢化が進むカローラブランドユーザーの若返りを図るために「カローラ」の冠を付けて日本で発売したのが、トヨタ カローラ ルミオンです。

 全体的なフォルムは2代目bBとよく似ていますが、ボディサイズは全長4210mm×全幅1760mm×全高1630mmですので、2代目bBより41cm長く、7cm幅広です。

ピラー(柱)の角度を立てたこともあり、空間効率は優れていた。「ルミオン(RUMION)」は、「ROOMY(広々とした)」と「UNIQUE(独自の)」をかけた「広い室内スペースと個性的なスタイルをもち合わせたクルマ」の意味を持つ造語
ピラー(柱)の角度を立てたこともあり、空間効率は優れていた。「ルミオン(RUMION)」は、「ROOMY(広々とした)」と「UNIQUE(独自の)」をかけた「広い室内スペースと個性的なスタイルをもち合わせたクルマ」の意味を持つ造語

 カローラ ルミオンは要するに「広いカローラ」または「デカいbB」というのが基本コンセプトですので、居住空間はきわめて広く、bBにあったシートの「マッタリモード」は付きませんが、チップアップ可能なリアシートや、10種類以上の収納スペースを設けるなど、利便性には十分な配慮がされていました。

 搭載エンジンは最高出力110psの1.5Lと、同136psとなる1.8Lの2種類のガソリン直4で、トランスミッションはすべてCVT。

 駆動方式はFFが基本ですが、4WDも用意されました。

リアビュー。1.5Lエンジンを搭載する1.5Gが178万円(2008年当時)と、他のモデルに比べ割高だったことも低迷の要因かもしれない
リアビュー。1.5Lエンジンを搭載する1.5Gが178万円(2008年当時)と、他のモデルに比べ割高だったことも低迷の要因かもしれない

 北米のサイオン xBは2.4Lエンジンを搭載する車でしたので、日本仕様の1.5Lまたは1.8Lは「エンジンより速い」といえるシャシーの余裕が魅力であり、また前述のとおり居住性や利便性も十分以上ではあります。

 しかしカローラ ルミオンの人気は今ひとつ盛り上がりませんでした。

「圧倒的な人気薄車」というほどではなかったかもしれませんが、販売は低空飛行が続き、結局2015年11月には生産終了となり、同年12月には販売のほうも終了となりました。

次ページは : ■「トヨタだから発売できて、トヨタだから初代限りで潰えた」ルミオン

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