光陰矢のごとし…なんて言いますが、ちょっと前まで「常識」だったことが、今ではすっかり「非常識」になっていること、ありますよね。
時代とともに「常識」は移ろいゆくもの、変わるもの…。クルマ界とて例外じゃありません。というわけで、昔は常識だったけど、今はどーなの!? といったものを集めて検証してみました!
※本記事は2017年4月時点のものです。
文:ベストカー編集部
写真:shutterstock.com、ベストカー編集部
初出:ベストカー2017年4月26日号
■高級サルーンはやっぱりFR(後輪駆動)に限る!
これ、いろいろあるにしても、やっぱり今現在も「常識」として通用しているもの。ベンツもBMWも、ロールスだってベントレーだって基本はFR。一部ハイパワーエンジン搭載モデルに4WDが設定されていますが、基本プラットフォームはFRというモデルばかりです。一時期キャデラックはセビルの時代FFに移行しましたが、やっぱりFRに回帰。
日本車だって伝統的にセンチュリーやプレジデントはFRですし、クラウン、往年のセド/グロだってずーっとFR。これを受け継ぐフーガもFR。たしかにFRプラットフォームを持たないホンダはレジェンドをFFで成立させていましたが、エンジンを縦置きにするなどパッケージング的にはFR寄りにしているのが特徴的です。ボルボS90はFFですが、フロントフェンダーの後端を長くし「縦置きエンジンFR」的なプロポーションとしている点をアピール。つまり、高級サルーン的プロポーションはやはりFRが理想的だということ。
もちろん操縦性のよさ、ステアフィールのよさというクルマの基本の部分でFFよりもFR=後輪駆動が優れているということが最大の理由ではあります。
■ターボは燃費が悪い!?
ターボの逸話はあまりにも有名すぎるのですが、’79年に国内で初めてターボエンジンが認可された際には、当時の運輸省を「熱効率に優れ、燃費改善に効果的」という触れ込みで説き伏せたものの、実際に走らせてみると「燃料漏れてんじゃね?」と疑ってしまうほど極悪の燃費でした。
本来ターボエンジンというのは捨てるだけの排気を利用して過給をすることで熱効率を高めるというシステム。つまり結果的に燃費がよくなる……という日産の説明に間違いはなかったのですが、なにぶん技術的に未熟だった当時のこと、大トルクを引き出すために燃料を大量に噴射してノッキング対策をするなどが必要で、結果として燃費が極端に悪いものになってしまいました。
しかし現在、直噴エンジンにターボを組み合わせたダウンサイズターボが省燃費エンジンとして高い評価を得ていることにはついて多くの説明は必要ないでしょう。技術の進化が過去の常識を覆した典型です。
■低燃費タイヤ(エコタイヤ)は雨で滑る!!
これも以前はたしかに常識だったもの。燃費志向のタイヤは転がり抵抗を低減するのが第一歩。転がり抵抗の低減はつまり、グリップ力の低下に他ならず、つまり低転がり抵抗タイヤはグリップ力に劣る、という傾向となります。
さらにウエット路面となると温度が低くなります。初期の低転がり抵抗タイヤはヒステリシスロス、すなわちタイヤゴムの変形による発熱を抑えることで転がり抵抗の低減をはかっていたため、路面温度の上がらないウエットではますますグリップ力を出しづらく、こうしたことで低燃費タイヤは雨で滑る、という「常識」が確立したようです。
もちろん現在ではそんなことはなく、「A-a」などと示すタイヤラベリング制度が制定され、転がり抵抗とウエットグリップが指標として明示されるようになると、各タイヤメーカーは、この相反する性能の両立に力を入れ、新技術を次々に開発し、低転がり抵抗と高いウエットグリップの両立を実現しているのです。
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