■若手ドライバーの将来
このコロナ禍がいつまで続くかわかりませんが、ある程度の年になってからのこの状況で助かったかもしれない。いまの学生はじめ10代20代の若者は本当にかわいそうです。彼ら自身が罹ったとしても本人が重症化することが低いと一般的に言われいてるのに行動を制限されている。
それでも、将来、彼ら若者が世界に羽ばたくチャンスはあると思います。
レース界をみても、トヨタで言えばル・マンやWECなどに参戦している限り、そこにむけたチャンスは絶対にある。
クルマを走らせる技量でいえば、いま彼らが海外にでても十分戦えると思います。ただ足りない部分が出てくるとしたら、コミュニケーションとかむこうでのやり方とかですね。海外にいけた時に、いろんな面でスッと対応することが試されると思います。
僕の英語はいわゆる受験英語です。英語、嫌いだったんですよ。子供の頃に多少英語に触れる機会はあったはずだけど、中学の時は勉強しないので成績は右肩下がりだった。
でもレースをやり続けていくならやっぱり英語は勉強しなきゃなぁと高校受験の頃に思うようになって、それからですね、英語をちゃんと勉強したのは。文法などの知識をベースに話しているタイプなので、しゃべってナンボみたいな(小林)可夢偉とは真逆です。
学校やレースで外人と話すことを繰り返し、ある程度慣れた状態で海外に行ったので、とりあえずはなんとかなった。でもそれはコミュニケーションが1対1で済むF3くらいまで。
F1で不特定多数の人と同時にしゃべったりスポンサー関係のイベントで話したりになると、なんとなく嫌だなぁと思いながらなんとかやっていました。
コミュニケーションって、相手に『こいつはこういう奴なんだ』と理解してもらうこと、必要なことをきちんと伝えることが大切です。それは日本語でもどんな職業でも同じだと思います。ドライバーの場合、コース上でちゃんと走れれば、なんでもかんでもべらべら話せなくてもいい。
僕自身すごくしゃべる方でもないし誰彼つかまえて話すタイプでもない。そんな典型的な日本人でも、最低限のコミュニケーションがちゃんととれていれば、外人みたいに『俺が俺が』と強く主張する必要はない。
特に耐久レースではそうですね。大人になってから入れた英語なので、いまでも常に頭の中で通訳している感じですが、それでもなんとかなる。そういう面で僕はいいお手本になれるかもしれません。
■今季、そして将来にむけて
いつかは海外に出たいと考えている若い人は多いと思います。さっきも言いましたが、若手ドライバーの技量は世界に十分通用する。その点、スーパーフォーミュラは海外の関係者がみてもすごくいいベンチマークになっているので、いま、日本で、自分をアピールするのにこれ以上ない場だと思います。
レギュラーの選手が出場できたりできなかったりの状況も、逆に若手選手にチャンスが行きやすく、それはモータースポーツ界の将来にとってもとてもいいことです。出られない立場としてはすごくしんどいですが(笑)。
SFは開幕戦の富士、それからもてぎに変更された10月の第6戦と最終戦の鈴鹿。あと去年のようにモーターホームでの隔離生活が認められるなら5月のオートポリス戦も出場のチャンスはありますが、全戦出場は難しい。タイトル争いもおそらくは……。
でも、出られるレースではできる限り前に行きたい。あとしばらく勝ててないので、まずはひとつ勝つこと。SFでの目標はそれだけですね。WECはもちろんハイパーカーでのタイトル獲得です。泥臭くてもしっかり地に足着けて、トライし続け、チャレンジし続け行くことだと思っています。
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