エルグランドの翌日発売から早20年!? “後発”アルファードが人気車になれた訳

エルグランドの翌日発売から早20年!? “後発”アルファードが人気車になれた訳

 高級モデルとしては異例の人気を集めるアルファードがいま「なぜ売れているか」ではなく、「なぜ売れたのか」。後発ながらここまでの人気車に成長できた理由とは?

 日本自動車販売協会連合会が発表する『乗用車ブランド通称名別順位』において、2021年1~3月まで、3か月連続で3位に入ったトヨタ アルファード。エントリーモデルでも352万円のラージサイズミニバンが、毎月1万台以上の販売台数を維持していることは、驚きしかない。

 アルファードは、なぜここまで人気のクルマになれたのだろうか。そこには、初代からの地道な積み重ねが存在する。アルファードが人気車に成長できた理由を、筆者の営業マンとしての体験も踏まえながら、考察していく。

文/佐々木亘 写真/TOYOTA

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新型エルグランド発売翌日にデビューした初代アルファード

初代アルファード(販売期間:2002~2008年/全長4840×全幅1805×全高1935mm)
初代アルファード(販売期間:2002~2008年/全長4840×全幅1805×全高1935mm)

 2002年、ラージサイズミニバン市場を席巻していた日産 エルグランドが、フルモデルチェンジを発表した翌日、初代アルファードは発表された。

 FR(フロントエンジン・後輪駆動)ベース、V型6気筒3.5Lエンジンのエルグランド(2.5Lエンジンは2004年12月に追加)に対して、アルファードはFF(同前輪駆動)ベース。V型6気筒3.5Lエンジンに加えて、直列4気筒2.4Lエンジン(2.4Lハイブリッドは2003年3月に追加)を用意した。

 アルファードは、必要十分な2.4Lエンジンを武器にして、幅広いユーザーに受け入れられる。そしてエルグランドを、あっという間に抜き去り、ラージクラスミニバンの頂点に立った。

 初代アルファードは、確かにエルグランドを研究していた。しかし、それ以上に、経済・社会情勢に合わせたクルマ作りをしていたように筆者は思う。

 大きいクルマに大きいエンジンを積み込む、それが高級車の証だった。エルグランドも同様の手法で高級ミニバンをアピールし、上流層を取り込んだ。

 対して、アルファードは高級路線ながらも、引くところをしっかりと引いている。2.4Lエンジンや、エスティマからの流用部品を増やすことでコストカットをおこない、エントリーモデルの車両本体価格を下げた。大きな高級車ではなく、中流層でも手が届く上級車を作り上げたのだ。

 当時、平成不況が底を見せ、日本国内の個人消費は少しずつ回復の基調になっていた。大変な贅沢はできないが、少し背伸びができた国内経済に、アルファードの戦略はピタリとハマった形だ。あこがれの高級よりも、手が届く上級を目指したアルファードは、2代目以降も快進撃をつづけていく。

次ページは : 輸出不振で“日本の高級車”に成長した2代目

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