■元ホンダの新車開発者 繁浩太郎氏が語るSUV興隆の理由とこれから
元ホンダの新車開発者、繁浩太郎氏は現在のSUV人気を「人間の本能に根差している」と説明する。
つまり、運転しているドライバーのみならず、助手席に座る人にとっても、高い視点から見下ろすことが、本能的に心地いいのだという。
お城の天守閣も高い場所だし、タワマンも高層階が高価格帯で人気がある。人間は本能的に他人より高所から見下ろしたいというのだ。
以前のクロカン4WDは車高が高いと操安性に不安があったが、ここ最近のクロスオーバーSUVは大きなタイヤに高い車高でも普通の乗用車感覚で走ることができる。
メーカー側の技術進化もクロスオーバーSUVを一般化させる大きな原動力になったのは間違いない、と繁氏は言う。
初代CR-Vを世に出す前、ホンダ社内では、モノコックで乗用車の足回りのこのようなモデルをアメリカで販売したら、岩場走って足が壊れたというクレームで大変なことになる、という慎重論が大半だったと繁氏は言う。
1990年代前半は、まだ「四駆=ヘビーデューティ」の認識だったのだ。
さらに繁氏は、
「20年以上の時間をかけてメーカーがさまざまなSUVを投入していったことで、ユーザー側もクロカン4WDとクロスオーバーSUVの違いを明確に認識したということでしょう。
岩場に行くならランドクルーザーやランドローバーを選ぶ。ハリアーやCR-Vなら雪道やちょっとした未舗装路まで。
それすら行かないのなら、FFでもOKとユーザーが理解して、セダンがミニバンに移行したように、さらに新たなファミリーカーとしてSUVのよさに気がついたというのが、今のSUV人気の理由でしょう」
と分析する。
SUV新時代を迎え、今後ますますSUVは車種ラインナップを増やし、人気をさらに高めていくにちがいない。
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