RX-7を完調に乗るには? 専門店に直撃! ロータリーのレストアはいくらかかるのか?

RX-7を完調に乗るには? 専門店に直撃! ロータリーのレストアはいくらかかるのか?

 女優の伊藤かずえさんが30年以上乗り続けている初代日産シーマが、日産自動車のグループ会社である「オーテックジャパン」によってレストアされることになった。

 レストアとは要するに「修復」あるいは「復元作業」のこと。走行26万6500kmに達した伊藤さんの初代シーマ タイプIIリミテッドはどのように復元されていくのか? 日産公式Twitterを通じてその模様が発信されるとのことなので、今後そちらを楽しく拝見したいと思う。

 それはさておき、レストアといえば「RX-7」についてもぜひ行いたいところではある。

 名車であることは間違いないマツダ RX-7の歴代モデルだが、それと同時に「中古のロータリーエンジン車はとにかく必ず壊れる!」、「まともな中古車はもはやほとんど残ってない!」とも噂されるジャンルゆえ、もしもRX-7を今から入手するのであれば、レストアあるいは各部の分解修理は必須となるはずなのだ。

 でも、それにはいくらぐらいの予算がかかるものなのだろうか? RX-7専門店に話を聞いた。

文/伊達軍曹
写真/伊達軍曹

【画像ギャラリー】伊藤かずえに続け!! RX-7レストアへの道と究極のRX-7 スピリットRタイプAを見る


■ロータリーエンジンのオーバーホールは50万円!?

1991年12月にデビューしたFD3S型RX-7。2002年3月、RX-7史上最も走りの性能を高めた最後の限定車となったスピリットRタイプA。2002年8月に生産終了
1991年12月にデビューしたFD3S型RX-7。2002年3月、RX-7史上最も走りの性能を高めた最後の限定車となったスピリットRタイプA。2002年8月に生産終了
255psでスタートしたFD3S型RX-7の13B-REWは、4型で265psに、5型で280psに進化した
255psでスタートしたFD3S型RX-7の13B-REWは、4型で265psに、5型で280psに進化した
お話をうかがった株式会社サンアイワークス代表取締役社長、石井洋行さん。整備士歴30年以上、ロータリー道20年以上の「ロータリーDr.」で、同社ウェブサイトも、RX-7が好きな人は必見
お話をうかがった株式会社サンアイワークス代表取締役社長、石井洋行さん。整備士歴30年以上、ロータリー道20年以上の「ロータリーDr.」で、同社ウェブサイトも、RX-7が好きな人は必見

ロータリーDR.石井の診療所のホームページはこちら!

 「ロータリーDr.」との異名を取る大ベテラン整備士・石井洋行さん率いるRX-7/RX-8メンテナンス専門店『サンアイワークス』を訪ね、石井さんに正味のところを聞いてみた。

――こんにちは。いきなりですが、100万円ぐらいの格安FC3Sを買っても、悪いところを直せば、割と普通に乗れるようになるのでしょうか?

石井さん うーん……。

――あれ? 100万円のFCだとさすがに厳しいですかね? ならば300万円ぐらいのFCだったら?

石井さん うーん……。

――FCだとちょっと古すぎますかね? ではFD3Sだったらどうでしょう?

石井さん うーん……そういう問題じゃないんですよね、昨今の状況は。

――そういう問題じゃない、とおっしゃいますと?

石井さん 格安中古車はまず論外として、例えばFC3Sの相場上限に近い300万円ぐらいの個体を買えば大丈夫かというと、そうでもないんです。

――相場の上限の中古車を買ってもダメだというなら、「もう何を買ってもダメ!」ということになりますが?

石井さん 一概には言えないんですよね。例えば300万円ぐらいのFCには素晴らしいモノもあるのでしょうが、逆に「中身はボロボロなんだけど、内外装だけをピカピカにしてオートオークションに出したら、たまたま高値で落札された」的な個体が、相場の上限近くで売られていることも多いんです。

 そういう個体をユーザーさんが買ってしまったら、購入後にどうなるかは……まぁ推して知るべしですよね。

例えば細かな部品ではあるが、経年により水のタンクも経年でポロポロ崩れている
例えば細かな部品ではあるが、経年により水のタンクも経年でポロポロ崩れている

――なるほどぉ……。しかしFCでもFDでも、古い世代のスポーツカーであり、なおかついろいろ繊細な部分もあるロータリーエンジン搭載車なわけですから、多くの人は「ある程度の覚悟」はあると思うんですよ。

石井さん 覚悟とおっしゃいますと?

――ある程度の修理代、あるいはレストア費用みたいなものは付き物である。とにかく最初にビシッと直すしかないし、直せば、その後はまずまず普通に乗れるのだ――という覚悟です。

石井さん なるほど。しかし、その「最初の修理」あるいは「レストア」に、記者さんはどのぐらいの費用がかかるとイメージしてらっしゃいますか?

――ええと、エンジンオーバーホールが50万円ぐらい。足回り一式をリフレッシュさせて30万円ぐらい。内装のレストアが30万円か40万円ぐらいで、フルレストアするとなると500万円ぐらい――でしょうか。

石井さん ……エンジンオーバーホールは50万円では無理ですし、フルレストアも、そのご予算では絶対に無理ですね。

「50万円でエンジンオーバーホール」というのは無理だったか!(写真はイメージです)
「50万円でエンジンオーバーホール」というのは無理だったか!(写真はイメージです)

――いや、でもネットでは、誰かがどこかに「RX-7のエンジンオーバーホールは約50万円からというのが一般的」みたいなことを書いていましたが?

石井さん エンジンをとりあえずバラして、ちょっとした部品を交換して、また元に戻して――みたいなことで良ければ、50万円ぐらいでもできるでしょう。でも、エンジンオーバーホールが必要な状態になったRX-7のエンジンが、例えばですけどアペックスシールをちょっと交換しただけで、生き返ると思いますか?

――そう言われると、たぶん……生き返らないでしょうね。

石井さん おっしゃるとおりです。アペックスシール単体が云々じゃないんですよ。アペックスシールのクリアランスが広くなると、最終的にサイドハウジング全体がダメになりますし。またせっかくエンジンを降ろすのですから、そのついでに交換したほうがいい部品もたくさんあります。インジェクターとかね。

――となると、RX-7に「ちゃんとしたエンジンオーバーホール」を行うとすると、費用はいくらぐらいになるのですか?

石井さん まぁ「おおむね200万円」とお考えください。10年・10万km持たせるには、そのぐらいは必ずかかります。

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