現行モデルで3兄弟車のノア/ヴォクシー/エスクァイアは、トヨタ販売店の全車併売化によって次期型ではノアだけに統合される可能性があるという。そのため現在、ノアは従来どおり複数のグレードで販売されているのに対して、ヴォクシーは基本的には「ZS」グレードのみに絞られている。
しかしながら、2020年度の登録車販売台数ランキングではヴォクシーが9位、ノアが16位。7位もの差をつけてヴォクシーのほうが売れているのだった。
そして、ヴォクシーはノア以外にも、日産セレナ、ホンダステップワゴン、トヨタエスクァイアといった競合車を抑えて、同クラスミニバンの販売台数ナンバーワンにもなっている。
モデル末期でほぼ1グレードしかないヴォクシーがなぜここまで売れているのか? その理由を新車販売事情に詳しい小林敦志氏が解説する。
文/小林敦志
写真/TOYOTA、NISSAN、HONDA、ベストカー編集部
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■2020年度のミニバン販売ナンバーワンは、セレナじゃない!?
2020年度(2020年4月から2021年3月)での年間新車販売台数が発表となると、かねてからその売れゆきが注目されていたアルファードの“爆売れ”状況がデータとしてさらに客観的に明らかになった。
2020年度締めにおける、アルファードの年間販売台数は10万6579台となり、ミニバン販売台数ナンバー1となった。
ん? 「ミニバン販売台数ナンバー1」というフレーズは「確か日産セレナがよく使っていたような……」と思い、セレナの2020年度の年間販売台数をみると6万5302台。アルファード、フリード、ヴォクシー、シエンタに次いで、ミニバンでは5位となった。
アルファードは、その圧倒的なリセールバリューの高さもあり、残価設定ローンを組むと、支払い最終回分として据え置く残価相当額を算出する残価率が5年後でも50%弱(それでも少なく見積もられている)と異例の高い数値となっている。
そのため月々の支払い額は、格下のノアなどに数千円足すだけでアルファードに乗ることができ、当初ノアなどの購入を予定していた多くの人がアルファードを購入することとなり、“爆売れ”が助長された。
しかし、ノア系3兄弟の2020年度販売台数をみると、アルファードに食われつつ、そしてコロナ禍でありながらも、いずれも前年比でヴォクシーが87.7%、ノアが95.1%、エスクァイアは48.4%を確保。2020年度での月販平均販売台数は、ヴォクシーが約5991台(月販目標比約119%)、ノアが約3896台(月販目標比約144%)、エスクァイアが1650台(月販目標比約71.7%)となった。
エスクァイアは2020年度中において、月販台数が2000台を越えたのは4月と9月のみ。ヴォクシーやノアと異なり、エアロ系シリーズを持たないこともあるのだが、フェードアウトの準備に入っているようにも見える。
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