ヴォクシーがミドルクラスミニバンで販売1位獲得!! ノアより売れている理由とは? 


■エアロ系ミニバンといえばヴォクシー

 また、ミドルミニバンクラスの売れ筋は、“オラオラ顔”ともいわれるエアロ系モデルが、ノア系以外ではセレナやステップワゴンでも売れ筋となっている。ヴォクシーはその人気のエアロ系で、顔つきのおとなしい標準モデルの設定はない。そのためノアと売り分けが上手にできているといってもいいだろう。

 そして、さらにゴージャスなほうがいいというと、エスクァイアになるので、エスクァイアが3兄弟で最も販売台数が少なくなっているとみることができる。

 ノア系3兄弟の源流をたどると、キャブオーバーワゴンのタウンエースとライトエースにいきつく。しかし、当初この2台は兄弟車ではなく、ライトエースの兄貴格として、タウンエースがライトエースに遅れて1976年にデビューしている。

初代ライトエースは1970年発売。そこから血統が続いていると考えると50年を超える。写真は1996年式のライトエースで、この時の上位機種であるエスティマと同様にFRレイアウトだ

 そして2代目タウンエースは1990年にビッグマイナーチェンジして、この時にライトエースと兄弟車関係となった。その後1996年にミニバンスタイルを採用したFRレイアウトのタウンエースノア&ライトエースノアがデビューする。

 そして、2001年にFFレイアウトを採用する本格ミニバンとしてノアがデビューすると、ライトエースノアは、“ヴォクシー”となった。

 ヴォクシーとなった時に、すでに実用性を強調したノアに対して、スタイリッシュなキャラクターが与えられており、その後は“エアロ系ならヴォクシー”といった流れができていったのである。

■「同じクルマに乗り換えたい」層が支えるノア系3兄弟

 ライバルのセレナやステップワゴンはどうなっているかを見てみよう。2020年度の年間販売台数の前年比はセレナが77.7%、ステップワゴンが76.4%となっている。

 実はコロナ禍以前から、ミドルクラスミニバンは2Lエンジンがメインユニットになっていることもあり、ボディサイズもあいまって「大きすぎる(おもに排気量)」として、シエンタやフリードへダウンサイジングした乗り換えが目立っていた。

ミドルクラスミニバンは2Lエンジンがメインユニットになっていることもあり、シエンタやフリード(1.5Lエンジンがメイン)へダウンサイジングした乗り換えが目立っている

 現行ステップワゴンのガソリン車は1.5Lだがターボ付きとのことで抵抗のある女性がいるようだし、ハイブリッドは2Lエンジンベース。

 セレナはe-POWERがレンジエクステンダーで発電用の1.2Lエンジンとなるが、前述したように、操作系が変わるとして抵抗を示す層も存在する。そして、ガソリン車は簡易ハイブリッドとなる2L。

 日産にはシエンタやフリードに相当するスモールミニバンがないので、代替時はe-POWERか2L車のいずれかに流れる傾向があるといえるし、ステップワゴンは相当数がフリードに流れているといえよう。

 そのなかで、ノア系3兄弟にあまり“ブレ”が見えないのは、前述したアルファードではないが、「シエンタにちょい足しでノア系に乗れますよ」という売り込みができるだけではなく、シエンタへダウンサイズの動きがあっても影響が少ないほど、3兄弟トータルで見れば、かなりの既納ユーザーを抱えていることも大きいといえるだろう。

 ノア系だけではないが、コロナ禍というある種非常事態の世の中にあっては、より確かなブランドを選びたい消費者心理があり、それがトヨタ車に多く流れるきっかけになっているというものも手助けしているようである。

最近はエンジンダウンサイジングの動きが大きいが、ノア系3兄弟については「今のクルマと運転感覚が同じ新車」を望む既納ユーザーが多い事で、影響が少なく出ているようだ

 さらには、マツダはミニバンのラインナップをやめているので、販売終了したマツダのミニバンとなるビアンテのユーザーもノア系3兄弟が積極的に取り込んでいると見ていいだろう。販売終了車のリセールバリューは目立って下落傾向となるので、それにこりて、リセールバリューのいいトヨタブランド車に流れやすくなっていると考えられる。

 ラインナップをやめるのは簡単だが、やめてしまえばユーザーは他メーカーに流れてしまい、仮にミニバンを復活させようとしても、ゼロどころか“ミニバンをやめた過去がある”としてマイナスからの出発になってしまうのである。

 ミドルミニバンは、低年式となってもそれ相応のニーズがあるので、全体的に見てもリセールバリューは良好といっていい。一世代前のモデルでも「ええっこんなに?」という販売価格を掲げる中古車も多い。

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