シルビアよりこいつが欲しかった!! 日産180SXが走り好きの支持を集めた理由は?


■失速したS14シルビアと堅調に売れた180SX

 ご参考まで、1991年以前と1997年以降のデータが調達できなかったのだが、180SXとシルビアのざっくりした販売台数をお伝えすると、下記のとおりだ。

1992年 180SX約14,500台、シルビア約36,000台
1993年 180SX約16,000台、シルビア約30,000台
1994年 180SX約15,000台、シルビア約30,000台
1995年 180SX約9,000台、シルビア約18,000台
1996年 180SX約8,000台、シルビア約15,000台

 若い読者はあまりご存知ないかもしれないが、大ヒットしたS13シルビアが1993年秋にS14にモデルチェンすると一気に売れゆきが芳しくなくなった。かたやモデルチェンジされず継続販売された180SXは、新鮮味もなくターボのみの設定ながらシルビアの約半分かそれ以上のペースで売れた。

1993年にデビューした6代目S14型『シルビア』。先代のS13のデザインがあまりにも秀逸だったため、S14のカタチが受け入れられずに不人気に終わった

 累計販売台数も、S13は30万台を超え、S14は約8万5000台にとどまったのに対し、180SXが約11万5000台というのは大健闘かと思う。S14は5ナンバー枠でなくなったせいで売れなくなったという指摘もあるが、個人的にはそれよりも単純にパッとしないデザインが要因だったように思っている。

 180SXが人気を博したのは、シンプルにかっこよさと、とっつきやすさにあると思う。

 基本に忠実なクセのない定番的なクーペスタイルは、スポーツカー好きにとってすんなり受け入れられた。シンプルゆえ自分好みにアレンジできそうな、“素”の感じもよかった。

 個人的にはBOMEXのエアロがとても気に入っていた。装着する前に手離してしまったけれど……。

 180SXの約10年のモデルライフは前期、中期、後期に分けられ、途中で小規模な変更がいくつかあった。ただ、振り返るべきものとしては、1991年~の中期で前述のとおりCA型からSR型にエンジン換装されたこと。

 それと、1996年~の後期でフロントバンパーのデザインが変わり丸型リアコンビランプや大型リアスポイラーが与えられるとともに、ついに自然吸気のSR20DEエンジン搭載車も設定されたことが挙げられる。

1991年のマイナーチェンジで2.0LのSR20DETターボエンジンを搭載しRPS13型になった中期型モデル。写真は1992年に追加された最上級モデルの「TypeIII」
1996年にマイナーチェンジが行われた後期型の「Type X」。主な変更は外観だが、SR20DEを搭載したNAモデルの「Type S」が新たに追加された

 ただし個人的には、取って付けた感の強い後期型のデザインはあまり好きになれなかった。

■惜しむべき「小型で手ごろなFRスポーツ」なクルマ

 シルビアと機構面で共通性が高いのはお伝えしたとおりだが、ボディ形状などが異なるので走りの特性も微妙に異なる。

 リトラクタブルヘッドライトでハッチバックということで、車両重量がたしか20kg重かったはずで、フロントのオーバーハングがリトラクタブルライトにより重いことと、ハッチバックなので後軸重も重くなり、バルクヘッドがないぶんリアの剛性はシルビアよりも不利であるなど、厳密には素性としてはシルビアのほうがよかったことになる。

 プロによるタイムアタックでも、把握している限りではラップタイムはシルビアのほうが上だった。

 また、ハードに走った個体はシルビアも含めリアアクスル上のフロアの溶接が剥がれるというトラブルがS13系では散見されたようだが、やはり剛性で不利な180SXのほうが剥がれやすいという話をチューナーから聞いたことがある。

 一方で、エンジンは壊れにくく容易にパワーアップできるのでいじりがいがあるとも聞いた。可変バルタイの付いたS14以降のエンジンが移植されることも多いが、SRに換装直後の赤いヘッドのほうが見た目はカッコよかった。

 実は「テスタロッサ」だったのだ(わかりますよね? 笑)。また、実はハードにチューニングするとアルミブロックのSR20DETよりも鋳鉄ブロックのCA18DETのほうが有利だった。

 クルマの性格としても、スポーツカーとしての資質はたとえばRX-7のほうが本格的なものの、ロータリーは燃費もメンテも究極的にお金がかかるし、操縦性も切れ味が鋭い半面、ピーキーでもある。

 シルビアともども180SXは、RX-7ほどいろいろなものがシビアではないし、足りない部分もいじれば簡単に結果が出せた。そのあたりもよかったように思う。

 そんな180SXも、事情によりS14シルビアとともに1998年いっぱいで生産終了となった。S15シルビアが、ハッチバックではなく独立したトランクを持つとはいえ、それまでよりもやけにリアウインドウが寝かされたのは、日産にとっても180SXへの未練があったように思えたものだ。

【画像ギャラリー】もう作れない!?日産のリトラクタブルヘッドライト搭載スポーツカー『180SX』を写真でチェック!!

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