■惜しむべき「小型で手ごろなFRスポーツ」なクルマ
シルビアと機構面で共通性が高いのはお伝えしたとおりだが、ボディ形状などが異なるので走りの特性も微妙に異なる。
リトラクタブルヘッドライトでハッチバックということで、車両重量がたしか20kg重かったはずで、フロントのオーバーハングがリトラクタブルライトにより重いことと、ハッチバックなので後軸重も重くなり、バルクヘッドがないぶんリアの剛性はシルビアよりも不利であるなど、厳密には素性としてはシルビアのほうがよかったことになる。
プロによるタイムアタックでも、把握している限りではラップタイムはシルビアのほうが上だった。
また、ハードに走った個体はシルビアも含めリアアクスル上のフロアの溶接が剥がれるというトラブルがS13系では散見されたようだが、やはり剛性で不利な180SXのほうが剥がれやすいという話をチューナーから聞いたことがある。
一方で、エンジンは壊れにくく容易にパワーアップできるのでいじりがいがあるとも聞いた。可変バルタイの付いたS14以降のエンジンが移植されることも多いが、SRに換装直後の赤いヘッドのほうが見た目はカッコよかった。
実は「テスタロッサ」だったのだ(わかりますよね? 笑)。また、実はハードにチューニングするとアルミブロックのSR20DETよりも鋳鉄ブロックのCA18DETのほうが有利だった。
クルマの性格としても、スポーツカーとしての資質はたとえばRX-7のほうが本格的なものの、ロータリーは燃費もメンテも究極的にお金がかかるし、操縦性も切れ味が鋭い半面、ピーキーでもある。
シルビアともども180SXは、RX-7ほどいろいろなものがシビアではないし、足りない部分もいじれば簡単に結果が出せた。そのあたりもよかったように思う。
そんな180SXも、事情によりS14シルビアとともに1998年いっぱいで生産終了となった。S15シルビアが、ハッチバックではなく独立したトランクを持つとはいえ、それまでよりもやけにリアウインドウが寝かされたのは、日産にとっても180SXへの未練があったように思えたものだ。
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