スズキ「アルト」 日本の軽を支えた名車は何がすごかったのか?


■今日も人気を博すスポーツモデル「アルトワークス」 初代は1987年に登場

初代アルトワークスは1987年、2代目アルトに追加された。軽量ボディにフルタイム4WDと550ccの3気筒DOHCターボエンジンを組み合わせたベビーギャング

 2代目では走りにも強いこだわりを見せ、実用モデルだけでなくスポーツモデルも送り出した。真打ちの登場は1987年だ。

 自主規制の引き金を引いた64psの高性能を誇る直列3気筒DOHC4バルブターボを積むアルトワークスを投入したのである。あまりにも刺激的で、フルタイム4WDのメカニズムを持ってしてもジャジャ馬だった。

 当然、世界最速のモンスター軽商用車の登場は強烈な印象を与え、ライバルメーカーを唖然とさせている。

 1988年、アルトは第3世代にバトンを託したが、1989年春に物品税に代わって消費税が導入されたため、ボンネットバンは存在感を失った。そこでアルトは5ナンバーの乗用車カテゴリーへとシフトしていく。

 1990年春には規格が変わって660ccエンジンを搭載する。堅調に推移していたが、1993年9月に新しい価値観を持つ軽自動車、ワゴンRが登場した。アルトは脇役に回り、これ以降はワゴンRが先鞭をつけたハイトワゴンが主役の座に就く。

1600mm以上の全高を確保した初代ワゴンRは軽ハイトールワゴン人気の火付け役となった

■老若男女に愛されるスズキの代表格

写真は7代目モデルに設定されたアルトエコ。アルトはさまざまな需要にこたえるスタンダードカーとして堅調に売れ続けている

 21世紀になり、アルトは目立たない存在となっている。2009年12月に登場した7代目ではベーシックミニとしての性格を鮮明に打ち出している。初代アルトのように装備を簡素化して低価格路線に転じたのだ。

 燃費に特化したアルトエコを投入し、話題を振りまいた。そして逆襲に出るのである。8代目(現行型)アルトは、初代と2代目の魅力をもう一度掘り下げ、「原点回帰」を目指すことにしたのだ。

 アルトエコから60kgもの軽量化を断行し、アルトの魅力のひとつである優れた経済性と小気味よい走りも徹底追及している。しかも時代が求める快適性と安全性にもこだわった。

 それだけではない。ヤンチャなスポーツモデルまでも復活させている。最初にターボRSを送り出し、次にベビーギャングのアルトワークスを投入した。21世紀になり、アルトは再び旋風を巻き起こしたのである。

 軽自動車の危機を救ったアルトは、常に挑戦者としての姿勢を貫いてきた。軽量化やコスト、パフォーマンス、そして安全性など、多くの難問に真正面から取り組み、ユーザーが欲しがるベーシックカーを次から次へと生み出してきた。

 ベーシックだが、貧相じゃないし、安っぽくない。実用一点張りに見えるが、ファッション性や遊び心もふんだんに盛り込んでいる。だから幅広い層の人たちを引きつけ、今も売れ続けているのだろう。

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