【あの失敗があるから今がある…でもガッカリしたなぁ】 あの時の新技術&新装備

エンジン&トランスミッション技術

 あまりの期待値の大きさに膨らみすぎたガッカリ大賞!! として真っ先に思い出すのが1985年モデルチェンジで7代目となったスカイライン(R31型)の2L直6ターボだ。

 なにしろ20年ぶりの新開発により刷新された直6エンジンで、各気筒4バルブのDOHCとくれば、それまでいまいちパッとしなかったL20エンジンに“もやもや”していたスカイラインファンの期待値は赤丸急上昇。あのGT-R用S20エンジンの再来とまで期待され、しかもこれがターボで武装されているというのだから期待するなというほうがムリというモノ。

 が……。

 期待に胸膨らませて試乗をすると……、走らない……ぜんぜんパワーを感じない………。正直、先代型RSターボの暴力的な動力性能のほうがダンゼン刺激的だった。

 明らかに熟成不足。なぜなら、このRB20DET、翌年2ドアクーペの登場とともに大幅改良されていきなり気持ちのいいエンジンに進化していたし、さらに1989年のR32以降はすばらしいフィーリングのエンジンとして高く評価されている。GT-RのRB26DETTもこのエンジンがベースである。つまり素性は悪くなかったということ。

 同じようなケースでは1998年に登場したアルテッツァの3S-GEが上げられる。可変バルタイ機構まで組み込んだハイチューンNAの2L直4で210ps。けっして悪くないのだが、ホンダのVTECシリーズのような胸のすくようなシャープなフィーリングではなく、ちょっとガサツな印象も相まって、期待値の高さとのギャップで“ガッカリ度”が大きかった。

 トランスミッションではいすゞの『NAVi-5』を挙げたい。今では当たり前のようになっている2ペダルAMTの先駆者ともいえるメカで、5速MTのクラッチ断続とギアシフトをアクチュエーターにより動かす。とても先進的な考えのメカニズムだったのだが、いかんせん電制技術が未熟だった時代ゆえ、動作に違和感があり、だったら一般的なトルコンATでよくね!? なんなら3ペダルMTでもいいんだけど……という1984年当時の時代背景もあり1990年、FFジェミニのモデルチェンジとともに消滅。

 と、こう説明するとガッカリ技術で終わってしまうのだが、いすゞはトラック用に開発を進め、NAVi-6、さらには大型トラック用12段変速『スムーサーE・F・G』へと進化しており、けっしてガッカリ新技術ではなかった。

R31スカイラインの『RB20DET』…ガッカリ度 100

1965年以来のL20型に代わる日産期待の直6新エンジンとして登場したRBシリーズ。その頂点として鳴り物入りで’85年、R31スカイラインとともに登場した24バルブDOHCターボ仕様だが、煮詰め不足で……
1965年以来のL20型に代わる日産期待の直6新エンジンとして登場したRBシリーズ。その頂点として鳴り物入りで1985年、R31スカイラインとともに登場した24バルブDOHCターボ仕様だが、煮詰め不足で……

いすゞの『NAVi-5』…ガッカリ度 20

1984年に登場した初代アスカに搭載された『NAVi-5』。通常のマニュアル5速ミッションを電子制御されたアクチュエーターで自動操作するというメカ。シフトノブは5速MTっぽいHパターンだが、オートモードでは自動変速するほか、マニュアル的な操作も可能だった。2代目ジェミニにも搭載
1984年に登場した初代アスカに搭載された『NAVi-5』。通常のマニュアル5速ミッションを電子制御されたアクチュエーターで自動操作するというメカ。シフトノブは5速MTっぽいHパターンだが、オートモードでは自動変速するほか、マニュアル的な操作も可能だった。2代目ジェミニにも搭載

BMW M3一番最初の『SMG』…ガッカリ度 95

1997年に登場したE36型M3後期型にオプション設定された『SMG』はシングルクラッチ式で作動レスポンスはまだまだであった
1997年に登場したE36型M3後期型にオプション設定された『SMG』はシングルクラッチ式で作動レスポンスはまだまだであった

アルテッツァの『3S-GE』210ps…ガッカリ度 75

1998年に登場したアルテッツァのスポーティグレードRS200に搭載された2L、直4エンジンが3S-GE。可変バルタイを採用しNAで210psを発揮していた
1998年に登場したアルテッツァのスポーティグレードRS200に搭載された2L、直4エンジンが3S-GE。可変バルタイを採用しNAで210psを発揮していた

ホンダ インスパイアの『気筒休止エンジン』…ガッカリ度 20

多気筒エンジンの一部気筒においてバルブの動作を停止して空回りさせるのが気筒休止。低負荷運転時のポンピングロスを低減することで燃費を向上させるのが目的だが、大量EGRなどでポンピングロス低減を図れる技術が進化し、現在では採用例は少なくなった
多気筒エンジンの一部気筒においてバルブの動作を停止して空回りさせるのが気筒休止。低負荷運転時のポンピングロスを低減することで燃費を向上させるのが目的だが、大量EGRなどでポンピングロス低減を図れる技術が進化し、現在では採用例は少なくなった

マツダ ユーノス800の『ミラーサイクル』…ガッカリ度 15

吸気バルブのタイミングを変化させることで膨張比に対し圧縮比を低くすることで高い熱効率を保ちながら安定した燃焼を実現するエンジンサイクル。1993年登場のユーノス800に搭載されて知られるようになったが、当時はいまいち効果がハッキリせずに「ガッカリ技術」的に扱われたが、プリウスのエンジンもミラーサイクルで、熱効率に優れたエンジンとして評価されている
吸気バルブのタイミングを変化させることで膨張比に対し圧縮比を低くすることで高い熱効率を保ちながら安定した燃焼を実現するエンジンサイクル。1993年登場のユーノス800に搭載されて知られるようになったが、当時はいまいち効果がハッキリせずに「ガッカリ技術」的に扱われたが、プリウスのエンジンもミラーサイクルで、熱効率に優れたエンジンとして評価されている

日産の『エクストロイドCVT』…ガッカリ度 90

特殊形状をしたローラディスク状のパーツの接触面を変化させることで無段階連続ギア比を実現したトランスミッション。1999年にY34型セド/グロ、2002年V35スカイライン350GT-8に搭載するも、その後の展開はなく消滅した
特殊形状をしたローラディスク状のパーツの接触面を変化させることで無段階連続ギア比を実現したトランスミッション。1999年にY34型セド/グロ、2002年V35スカイライン350GT-8に搭載するも、その後の展開はなく消滅した

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