ハイブリッドのメリットとデメリットとは
このハイブリッドのメリットとデメリットは、クルマ選びにも大きな影響を与える。ほとんど渋滞しない自動車専用道路を中心に走り、市街地比率の少ないユーザーは、投資対効果という意味ではハイブリッドを選ぶメリットが乏しく、アイドリングストップも作動する機会が少ない。
逆に都市部で生活していて、渋滞や低速走行の機会が多い場合は、ハイブリッドやアイドリングストップによる燃費の節約効果も大きい。
例えばヤリスの場合、ハイブリッドXのWLTC市街地モードの燃費数値は37.5km/L、NAエンジンの1.5Xは16.1km/Lだ。
ヤリスのNAエンジンはアイドリングストップが非装着でもあるから、市街地モード燃費は大幅に悪化する。
街中だけで使うとすれば、ヤリスハイブリッドXのガソリン代は、燃費数値上は1.5Xの43%で済む。逆に高速道路では1.5Xの73%だから、燃費の節約効果が低下する。
運転感覚でもモーター駆動を使うハイブリッドは注意を要する。アクセルペダルを踏み増した時に、ハイブリッドでは駆動力が素早く立ち上がり、これはメリットになり得る代わりにユーザーによっては違和感と受け取るからだ。
特に日産のe-POWERは、ブレーキペダルの協調制御を採用していない。減速エネルギーを使った発電を積極的に行い、燃料消費量を節約するには、エコモードやスポーツモードを選ぶ必要がある。
この時には強めの減速力が生じるから、ブレーキペダルを踏まずにアクセルだけで速度を幅広く調節できる。
日産はこれを「ワンペダルドライブ」と称して宣伝したが、新型ノートでは制御を見直した。開発者は「従来のワンペダルドライブでは唐突な減速が生じて、前後方向の揺れが生じやすかった」という。
ハイブリッドとNAエンジンによる運転感覚の違い
ハイブリッドとNAエンジンの運転感覚の違いは、メカニズムの種類や車種によって異なるが、ユーザーによっては運転しにくく感じる。
購入時には販売店の試乗車で確かめたい。特に時速40~60kmで走行中に、アクセルペダルを少し踏み増したり緩めたりして、穏やかな加減速の仕方をチェックする。登坂路に差し掛かった時の反応も大切だ。
ハイブリッドはこのような通常の走行領域で、違和感が生じやすいから面倒だ。ハイブリッドはモーター、駆動用電池、制御機能を搭載するので、NAエンジン車に比べてボディが重い。
フィットやヴェゼルのe:HEVは、NAエンジンに比べて100kg、ヤリスでも60kg程度は車両重量が上まわる。
車両重量が増えると、主に走行安定性に悪影響が生じる。旋回軌跡が拡大してカーブを曲がりにくくなったり、後輪が横滑りを生じて運転操作の難しい傾向が生じやすい。
今は走行安定性が全般的に向上して横滑り防止装置も装着されるから、運転に不安を感じる心配はないが、曲がったり危険を避ける時には車両重量の増加がマイナスに作用する。
例えばRAV4の場合、2.5Lのハイブリッドは、2LのNAエンジンに比べて車両重量が100kg重い。動力性能はハイブリッドが勝るが、カーブを曲がる時の挙動は、NAエンジンが軽快だ。下り坂のカーブで危険を避ける時の安定性も、NAエンジンが優れている。
ハイブリッドは、駆動用のモーターや電池を搭載するために、NAエンジンに比べて空間効率も悪化する。
例えばセレナのe-POWERは、ノーマルタイプのSハイブリッドに比べると、2列目シートに座った乗員の足が1列目の下側に収まりにくい。
e-POWERの2列目シートの快適性をSハイブリッドと同等に保つには、2列目のスライド位置を後方へ寄せねばならない。
そうなると3列目の足元が狭まる。逆に3列目に十分なスペースを与えると、2列目の座り心地が窮屈になってしまう。
セレナに限らず、ヴォクシー/ノア/エスクァイア、ステップワゴン、フリードなどのミニバンでも、ハイブリッドでは2列目に座った乗員の足が1列目の下側に足が収まりにくい。
ヴォクシー系3姉妹車では、前席の中央に100V・1500Wの電源コンセントをオプション設定したこともあって、中央部分に大型のコンソールが装着される。従って前席から後席への移動もしにくい。
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