■全販売チャネルを味方につけ“戦力外”から復活したシエンタ
シエンタが生産終了した2010年、フリードは約9万5000台以上を販売している。復活を果たす2011年、シエンタの販売台数は約2万台、フリードは6万7000台を販売し、トリプルスコアをつけられている状況だった。
一度廃止され、緊急復活したクルマが、人気絶頂のクルマに勝てるわけはない。それは販売現場もわかっていただろう。ただ、クルマがある限りは、誠意を持って売る。それがトヨタの販売だと思う。
マイナーチェンジだけを施されたシエンタを、販売現場は大切に売り続けた。結果として2013年まで、シエンタは新車乗用車販売台数ランキングで30位以内に入り続ける。
シエンタには、メーカーの作り手、そして販売店の売り手、両方の強い思いが込められている。カローラ店はもちろん、オールトヨタの販売員が、廃止・復活したシエンタを、何とか勝負の土俵に乗せ続けていたのではないかと、筆者は思う。
結果としてその思いは、2015年の2代目登場、そして全チャネル取り扱いによって、花開いた。ライバルには絶対に負けない、シエンタを負けさせてはならないというトヨタの思いが結実した結果、シエンタは2018年後半に、アクアと同等の販売台数を記録する。
初代が12年、そして2015年の2代目デビューからそろそろ6年が経過する。珍しい形で復活したシエンタは、販売現場から愛され、守られて、ロングセラーのクルマとなった。
今や爆発的に売れるスーパースターではないが、いぶし銀の存在で、コンスタントに販売台数を重ねるシエンタは、今やトヨタの定番ラインナップとなっている。
生産終了という戦力外通告を受けてすぐに、ピンチの場面でマウンドに送られ、最少失点で切り抜けたシエンタ。この活躍は、今後も後世に語り継がれていくことだろう。
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