■従来の延長上に次期GT-Rは作りようがない
ただ、GT-Rはただの高性能スポーツカーというだけでなく、日産のシンボルとも言えるブランドアイコン。そういう意味ではこのまま自然消滅に任せるのは惜しい。
昨今の脱内燃機関の風潮や日産の電動化戦略と関連づければ、次期GT-Rは超高性能EVというのがリーズナブルな発想で、とりあえず「次期GT-RがあるとすればEVしかない」というのが現実だろう。
しかし、これほどCO2削減の世論が高まっているなかで、EVとはいえ超高性能車がユーザーや世論の支持を得られるかといえば、ぼくはちょっと疑問だと思う。
マーケティング的にも、高性能EVの市場はすでに飽和しているという見方が強い。テスラの成功はただ高性能だったからではなく、コネクテッドや自動運転、そして売り方を含めた新しい取り組みが評価されてのこと。R35GT-RをEVで再現しただけでは、新世代のスポーツカーとしてインパクトに欠ける。
ましてや、欧州では環境性能でネガティブな烙印を押されるのを恐れて、ボルボを筆頭に自ら最高速度にリミッターをかけるような動きがある。そんな風潮のなかで、EV版のGT-Rが出たとして、はたしてそれが日産のブランド戦略にプラスとなるかどうか。
クルマ好きにとっては受け入れがたい結論かもしれないが、もはや従来の延長上に次期GT-Rは作りようがないというのが現実なんじゃなかろうか。
■次世代型GT-Rの可能性
唯一可能性があるとすれば、水素をベースとした合成燃料(e-Fuel)が一般化して、高性能内燃機関でもCO2ニュートラルというコンセンサスが生まれてからだが、それにはたぶん20年くらいの時間が必要になると思われる。
GT-Rの歴史を紐解くと、1974年~1989年までと2002年~2007年まで、GT-R不在の期間があった。e-Fuelを使った新型エンジンにPHEVを組み合わせるなど、あたらしい内燃機関を使った高性能車が見直される可能性はある。
まぁ、見果てぬ夢とはわかっているのですが、安直にEVのGT-Rなどを造るより、ぼくは誰も予想できないほど画期的なe-Fuel PHEVのGT-Rが見てみたいと思う次第でございます。
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