「4WDは燃費が悪い」は本当か? 今や雪道では“逆転現象”が起きる場合も!!


 よく「4WDは2WDより燃費が悪い」と言われる。カタログに記載される燃費(=JC08モード燃費)を見ると、車種によって差はあるものの、4WDのJC08モード燃費は、2WDより概ね2%から14%ほど低い。

 ただ、それは車を走らせる“場面”によっても異なり、今では「4WDのほうが2WDより燃費がいい」ケースもあるという。

文:渡辺陽一郎/写真:編集部、SUBARU、NISSAN


実走行での燃費は今や2WDと大差なし!?

ホンダ ヴェゼルのリアルタイム4WDも電子制御を用いたシステム。このように燃費への悪影響が少ないタイプの4WDを採用する車種が近年多数
電子制御を用いた「リアルタイム4WD」搭載のホンダ ヴェゼル。このように燃費への悪影響が少ないタイプの4WDを採用する車種が近年増えている

 燃費が悪くなる理由は大きく分けて2つあり、まずは4WDの車両重量が2WDに比べて50kgから90kgほど重いことだ。2つ目は4輪を駆動することにより、走行抵抗が増えることが挙げられる。

 このほかJC08モード燃費を計測する時に、抵抗として加える等価慣性重量の区分により、2WDと4WDの燃費差が開くケースもある。

 気になるのは実用燃費の違いだが、舗装路上で同じ車種同士を比べると、今は2WDと4WDの違いが10%程度にとどまる印象だ。4WDの燃料消費量が目立って増えることはなく、それよりも走行条件の違いに基づく燃費変化が大きい。

 2WDと4WDの燃料消費量にあまり差が生じない理由は複数あるが、最も大きく影響しているのは4WDのメカニズムだろう。

 今日の4WDの多くは電子制御式の多板クラッチを使うタイプで、駆動輪の滑りが生じない舗装路を走る時は、ほぼ2WDの状態になる。

 ムダに4輪を駆動しないから、燃料の消費量も増えにくい。4WDを備えればボディが重くなるから、燃費が2WDに比べて悪化するのは避けられないが、その度合いは小さい。

かつての四駆は約2割燃費が悪かった

8代目のブルーバードには、スカイラインGT-Rにも搭載されたセンターデフ式4WDの「アテーサ」を搭載していた
8代目のブルーバードは、センターデフ式4WDの「アテーサ」を搭載。カタログ値以上に燃費の悪化率は高かった

 ちなみに乗用車の4WDにセンターデフが使われていた時は、同じエンジンを搭載した2WDとの比較で、燃費数値と実用燃費の両方が15%から20%悪化したものだった。

 例えば1987年に発売された8代目の日産ブルーバードには、前輪駆動の2WDと、アテーサと呼ばれるセンターデフを使ったフルタイム4WDが用意されていた。

 直列4気筒1.8Lエンジンを搭載したツインカムSSSの場合、4WDの車両重量は1280kg(5速MT)で、2WDに比べて140kg重い。10モード燃費は2WDが12km/L、4WDは10.4km/Lで、実際に走らせると15%以上も燃費が悪化した。

 また、当時はビスカスカップリング4WDも燃料消費量が多かった。例えば1996年に発売された日産S-RVの場合、1.5Lエンジンの2WDは車両重量が1040kgで10・15モード燃費は18.2km/L。

 1.5Lエンジンの4WDは1190kgで15.4km/Lに下がる(車両重量の増加は150kgで燃費数値の悪化は約15%)。1.8Lエンジンとセンターデフ式4WDの組み合わせは1250kgで12.6km/Lであった。

 このように乗用4WDが普及を開始した20~30年前に比べると、今の4WDシステムは大きく進化した。軽量化と抵抗の軽減を図ることで、燃費の悪化を抑えている。

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