コペンも生き残れない? ダイハツの軽自動車がこれから続々と消えるかもしれない!

■すべての車種を電動化するには無理がある

 今後ダイハツで車種整理の必要が生じそうである理由は、政府が打ち出している脱炭素社会の実現にある。その一環として「2030年代までに純エンジン車をなくす」という目標設定が掲げられているためである。

 スズキ、日産、三菱自動車は軽乗用車のマイルドハイブリッド車を実用化していて、また日産、三菱自動車は軽自動車ベースの電気自動車を開発中であり、電動化では先行している。ホンダも登録車でハイブリッド車を実用化しているので、軽自動車への応用は技術的にほぼめどをつけているといえる。

スズキ『ワゴンR』はマイルドハイブリッドを採用している
スズキ『ワゴンR』はマイルドハイブリッドを採用している

 ダイハツはどうか。独自開発とトヨタからの技術導入の両面で開発を進めているが、まだ実用化には至っていない。

 「EV走行可能なストロングハイブリッド方式で1.3Lガソリン車、それに660ccの軽自動車も開発を進めている」とダイハツの企画開発本部関係者筋が明らかにしている。しかし、この際ネックになるのは数多い車種のすべてを電動化することである。

 ダイハツの軽自動車は車種が多いので可能なかぎり車種を絞ったほうが対応しやすいのは当然である。プラットフォーム&エンジンなど基本コンポーネンツがひとつでも、装備、ボディタイプ、ドア数、駆動系が異なると車重やパワートレーンのレイアウトに大きな差が生じてくる。そのため、ハイブリッドなどの電動化はすべての車種への対応が難しいのである。

 特にストロングハイブリッド化は「タントなどの車重が嵩むモデルのハイブリッド化は効果が出やすいが、ミライースなどの軽量なクルマには効果が少ない傾向がある」(ダイハツ開発関係者)という事情があり、車種を絞って対応せざるを得ないといった要因もあるようだ。

■電動化で整理される車種にはあの貴重なオープンカーも!?

 ダイハツが軽乗用車の車種を絞るとすればどうなるか。販売台数の多いタント、ムーヴ、タフトなどの主軸モデルは残さざるを得ないだろう。

 ほかのモデルとニーズが重なるウェイク、キャスト、ムーヴキャンバス、ミラトコットなどが削減検討の対象になりそう。スポーツモデルのコペンは衝突安全、燃費などの対応が難しく生き残るのは難しくなるかも知れない。

ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『ウェイク』。写真は Gターボ“VS SAIII”
ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『ウェイク』。写真は Gターボ“VS SAIII”
ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『キャスト』。写真は スタイル G“プライムコレクション SAIII”
ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『キャスト』。写真は スタイル G“プライムコレクション SAIII”
ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『ミラトコット』
ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『ミラトコット』
ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『コペン ローブ』。S660の販売終了で唯一の軽オープンカーとなっている
ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『コペン ローブ』。S660の販売終了で唯一の軽オープンカーとなっている

 主軸モデルのひとつであるミライースはどうするか。これまで軽量ボディとパワーユニット自体の改良で軽乗用車トップレベルの低燃費の実現とコストダウンによる低価格設定を売りとし、独自のポジションを構築してきた。

 しかしながら、ミライースはストロングハイブリッドなどによる電動化は対応が難しい状況にある。低燃費は実現できても、約50万円ものコストアップによって、売りである80万~90万円台の低価格設定は不可能であるからだ。

ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『ミライース』。写真は G “SAII”
ダイハツの整理対象になりそうな軽自動車 『ミライース』。写真は G “SAII”

 ハイブリッド化すればミラトコット、ムーヴ、ムーヴキャンバス、キャストとの統合で対応せざるを得なくなるに違いない。

 ダイハツの軽乗用車は主軸モデルが古くなり、販売が頭打ち状況にある。そして、首都圏ダイハツ店の営業担当者は以下のように語っていた。

 「タントが同クラスでトップセラーを確保できないのは同じ両側スライド開閉ドアのモデルにウェイクやムーヴキャンバスがあり、お客さんの一部がこれらに流れているからだ。

 トータルでスズキに負けているのはモデルチェンジの谷間にあるからで、それほど気にしていない。ただハイブリッドがなく、環境対応で遅れている印象をユーザーに与えているのはマイナスである。メーカーには早く電動化でライバル他社に追い付ける態勢にして欲しいと要望しているところだ」。

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