■闘うスポーツカーの GT-Rとは違うZ32の魅力
そんなわけで最初はかなり緊張しながら走っていましたが、しばらく走っていると慣れてくるというか、基本的な運転操作を守っていれば、クルマが素直に反応してくれることがわかってきました。
ボディがしっかりしているからグリップの限界領域でのクルマの動きがとてもわかりやすいのです。このあたりはFRが大好きな(当時)日産テストドライバーのセッティングの膨大なノウハウと巧みなセッティング技術の結晶なのでしょう。
現在は、クルマの前後重量バランスは50:50に近いほうがいいとされていますが、当時はそれがわかっていても重いエンジンをボンネットに収めるためフロントヘビーなFRレイアウトにならざるを得ませんでした。
そのメリットもデメリットも熟知しているので、後輪が滑り出した後のトラクションの抜けとか、コントロール性など、これまで培ってきたノウハウをふんだんに織り込みながら、日産FR車の味付けをいい意味で受け継いだ操縦性を作り上げていたのだと思います。
走り味は重厚で、シャキシャキ軽快に走るような鋭さはありませんでしたが、その分、ドシっと路面を踏みしめ、安心してアクセルが踏めるような(もちろん加減しながらですが)安心感というか安定感がありました。
操縦性は素直でハイレベル。当時のFRスポーツを代表する性能を備えていました。
GT-Rが登場した後も、Zの持つ大排気量FRスポーツカーの魅力は色あせることなく、その人気を2分していました。
バブル景気の後押しもあってのことなのでしょうが、バトルスポーツあるいは闘うスポーツカーのGT-Rに対して、ラグジュアリースポーツ、あるいはグランドツーリング・スポーツカーといった個性の違いと、期待を裏切らない性能で、Zは魅力を放っていました。
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