■タフトの後席は荷室と割り切ろう
装備を充実させた代わりに、タフトのシートアレンジは単純だ。後席は固定式で、前後のスライド機能は付かない。畳む時も背もたれを単純に前側へ倒すだけだ。座面を昇降させて小さく畳む機能は備わらない。
つまりタフトのコンセプトでは、後席は畳んで使う荷室と割り切られている。そのために車内の色彩も、前席はブラック、後席はグレーに区別した。
GとGターボでは、前席側のドアのインナーハンドルはメッキ仕上げたが、後席側はメッキされていない。後席の造りはシンプルで、その背面と荷室の内張りには、汚れを落としやすい加工を施した。
タフトのウェブサイトやカタログを見ても、後席に乗員が座っている写真は掲載されていない。大半が後席を畳み、荷室として使っている。
従ってタフトは、2名以内で乗車するユーザーに適する。
ファミリーなど、3~4名の乗車にはハスラーが向いている。ハスラーはワゴンRと同様にシートアレンジを充実させ、後席にはスライド機能を装着した。後端まで寄せると、前後席に座る乗員同士の足元空間は1035mmに広がり、タフトの900mmを上まわる。
後席の足元空間の広さを見ても、タフトは積載性、ハスラーは居住性を中心に設計されていることが分かる。
■安全装備の有無とドレスアップ装備が売却時には重要
そこでタフトのベストグレードを考えたい。XとGに大別され、それぞれにターボが用意される。合計4グレードだ。
ノーマルエンジンのX(135万3000円)とG(148万5000円/2WD)の装備を比べると、上級のGが充実する。Xの装備内容に、アダプティブドライビングビーム(ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を避ける機能)、ルーフレール、アルミホイール、前席のシートヒーターなどを加えた。
これらの装備を価格に換算すると総額22万円相当だが、XとGの価格差は13万2000円に抑えたからGが割安だ。アダプティブドライビングビームは安全性を高める装備だから、なるべくGを選びたい。アルミホイールなどは人気の装備なので、数年後に売却する時もGが有利だ。
一部改良の時に追加された特別仕様車のGクロムベンチャー(155万1000円)は、内外装にメッキパーツを装着して、前席にはシルバーのステッチ(縫い目)も入る。Gに対する価格上昇は6万6000円だから、さほど買い得ではないが、内外装が気に入ったなら検討する価値はある。
登坂路の多い地域のユーザーは、販売店の試乗車を使って、実際に登り坂を走ってみたい。パワー不足を感じた時にはターボも検討する。
日常的な運転感覚に大きな影響を与える最大トルクは、ノーマルエンジンは6.1kg-m(3600回転)だが、ターボは10.2kg-m(3600回転)だから1.7倍に向上する。しかもターボに組み合わせられるCVT(無段変速AT)は、高効率なD-CVTだから、WLTCモード燃費は20.2km/Lと良好だ。
ノーマルエンジンの20.5km/Lと比べて、ほぼ同じ数値になる。ターボの装着による燃費の悪化をD-CVTが補った。
Gターボ(160万6000円)の価格はGに比べて12万1000円高いが、ターボの搭載と併せて、運転支援機能の全車速追従型アダプティブクルーズコントロールなども装着される。この装備はノーマルエンジンのGにもオプション設定され、価格は4万4000円だ。
そうなるとターボの正味価格は、この4万4000円を価格差の12万1000円から差し引いた7万7000円に収まる。燃費の悪化を抑えたCVTの併用も考えると、GターボはGと同等かそれ以上に割安だ。
従ってタフトを買う時は、GとGターボを乗り比べて判断したい。ターボの動力性能に魅力を感じたら、積極的に選ぶと良い。
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