日産車内での喰い合いは少なからず起きている
次に、日産車の登録台数推移をみていこう。キックスと同じく、全車e-POWERとして12月末に発売開始した新型ノートと、モデル末期の現行エクストレイルをピックアップした。
新型ノートが発売開始となったのは2020年12月23日。このタイミングで、キックスは登録台数を若干落としている。新型ノートの登場が影響した可能性は大いにあるだろう。
落ち込んだ日産のシェアを回復するには、他メーカーからの乗り換えを狙いたいところだが、ハッチとSUVという違いはあるにせよ、似たような価格帯で、似たようなコンパクトボディとくれば、喰い合いが起きてしまうのは、仕方のないことかもしれない。
いますぐ欲しいのは大中小のSUV包囲網
トヨタは、ライズ、ヤリスクロス、C-HR、RAV4、ハリアー、と完璧なSUV包囲網をつくった。
いまの日産にトヨタと同じことができるほどの資金力・体力がないことは承知しているが、せめて今秋登場予定とされている次期型エクストレイルにつづいて、マグナイト(※インド市場向けのミニマムSUV)のようなマイクロSUVが登場してこれば、大・中・小の日産SUVラインアップが完成し、非常に面白いことになると思う。
マグナイトという良い素材があるだけに、日本導入チャレンジのウワサすら聞こえてこないのは、非常に残念なところだ。
「e-POWER SUV軍団」を見せてほしい!!
キックスは、「全モデルe-POWER搭載」を初めて謡ったコンパクトSUVだ。車両本体価格は276万円からと、相当強気の価格設定がなされており、それにしては、新車登録は順調に伸びてきたといえるだろう。
日産は頑なに、「環境保全=CO2排出量の低減」を狙って、キックスをe-POWER一本のみに絞った判断を全うしようとしている。もっと会社を楽にするため、販売台数を増やすには、廉価なガソリンモデルを用意することが近道であるはずだ(南米ではガソリン仕様のキックスが販売されている)。
その旨を開発責任者やマーケティング担当の方に何度か尋ねたが、「ガソリンモデルが売れやすいのはわかってはいるのですが」の前置きをしつつも、「会社方針で決まったことは全力で取り組むしかない」という回答だった。
そのように振り切ったのであれば、ぜひともキックスe-POWERに続く、日産の「e-POWER SUV軍団」を日本市場で見せてほしいと思う。e-POWERの可能性を世界中に広め、BEV(=Battery Electric Vehicle=バッテリー動力のみで駆動するEV)だけが最適解ではないことを示してほしい。
海外にはマグナイトを含め、ジュークやキャシュカイ、パスファインダー、アルマーダ、インフィニティだとQX50、QX55、QX60、QX80など、魅力的なSUVがまだたくさんある。ボディサイズ的に、日本に最も適しているのはマグナイト、もしくはジュークだろう。
かつてのように、日産のラインアップが華やかとなる日を心待ちにしている。
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