■現在も全く色あせない珠玉の名車
サスペンションも革新的だった。前後ともマルチリンクとし、主力のリアサスペンションには位相反転制御のスーパーHICASとスタビライザーを採用し、気持ちいいハンドリングを実現している。
ステアリングも、新設計のツインオリフィス式電子制御パワーステアリングだ。リヤLSDはビスカスカップリング式で、ほとんどグレードに4輪ディスクブレーキをおごった。GTS-4とGT-Rは後輪駆動をベースに、前後輪への駆動トルク配分を電子制御によって最適に配分する4WDのアテーサE-TSを採用する。
GT-Rを中心に走りの性能を徹底して追求し、その仕上げとしてドイツのニュルブルクリンク・サーキットのオールドコースに試作車を持ち込んだ。ここでシャシーやボディ、サスペンションなどを練り上げたのである。
だからワインディングだけでなく、サーキットでも優れたトラクション性能を発揮し、コントローラブルだった。
レベルの違う異次元のハンドリングは、走りにこだわるファンにとっても新鮮と映ったのだろう。また、GT-Rの血を引くから4気筒モデルでも絶大な安心感が得られた。
革新のメカニズムと原点回帰で新たな神話を築き、スカイラインの魅力とすごさを再確認させたのが、8代目のR32系スカイラインだ。目標値が驚くほど高かったから長年にわたってライバルを寄せ付けなかった。直球勝負で挑んだから、今も魅力は色あせていない。それゆえ、今も多くの人に愛されているのだろう。開発陣の顔が見える珠玉の名車である。
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