1週間で1200件を検挙!! どこまでがあおり運転なのか?

1週間で1200件を検挙!! どこまでがあおり運転なのか?

 昨今社会問題となっている「あおり運転」。執拗に車間を詰めたり、挙句の果てに暴力行為や多重死亡事故などへと発展しているのはご存じのとおり。

 許されることのない交通違反だが、2018年6月に1週間に渡りあおり運転の全国一斉取り締まりが行われた。その検挙数はなんと1200件オーバー。あおり運転の判断、そしてなにがいけないのかを徹底検証します。

文/:写真ベストカー編集部
ベストカー2018年7月26日号


■警察が本気になったら1週間で1296件の「あおり運転」が検挙された

 2018年6月1日から7日までの1週間、初の「あおり運転全国一斉取り締まり」が行われた。

 度重なるあおり運転からの暴行、暴言事件が社会問題化していることを鑑み、警察庁の大号令により実施された。

 静岡、愛知、京都、三重、佐賀など14府県の警察ではヘリコプターによる上空からの監視も敢行(通常期に行っている場合もある)。その結果、7日間での総検挙数は1296件にのぼった。

 検挙数の内訳は「車間距離保持義務違反」が1088件、「追い越し方法違反」が110件、「進路変更禁止違反」が56件。これらを総称して「あおり運転」としているが、やはり「車間距離保持義務違反」が84%でほとんどだった。

 昨年1年間の「車間距離保持義務違反」の検挙数は全国で7133件(最多は愛知県の1345件、最小は鳥取県の0件)だったが、今回の一斉取り締まりでは、わずか7日間でその15%以上に達したのだから相当力が入っていたことがうかがえる。

 期間中「車間距離保持義務違反」の検挙数が最も多かったのは兵庫県の434件で、全体の約4割。2位は静岡県で95件、3位愛知県81件、4位福岡県69件、5位が埼玉県の60件だった。

車間距離を保持することは安全運転の第一歩。クルマは急には止まれない(画像はイメージ)
車間距離を保持することは安全運転の第一歩。クルマは急には止まれない(画像はイメージ)

 兵庫県警が管轄する高速道路の総延長距離は691㎞で、北海道に次いで全国2番目に長い。そのぶん多くなるのはわかるが、昨年1年間の231件(全国10位)をはるかに上回る434件という検挙数は驚異的。

 悪質ドライバーに「兵庫県警の本気(まじ)」を見せつけたということだろうが、普通なら見逃す程度のものも、期間中の検挙数を稼ぐために、今回にかぎり厳しく取り締まったものでないことを願いたい。

 また、違反を取り締まるだけでなく、全国の高速道路のSA・PAなどで啓蒙活動も積極的に実施。あおり運転をはじめとする危険行為の抑止にも力を入れた。

 ドライバーにとってあおり運転は人ごとではない。本企画で深く考察してみたい。

■識者は「あおり運転」をこう考える そして罰則はどうなる?

 暴行罪が適用されるような「あおり運転」は論外なのは当然だ。しかし速度違反や駐車違反のように明確な線引きがないぶん、取り締まりの運用が難しいのも事実。

 ベストカー執筆陣の鈴木直也、国沢光宏両氏の「あおり運転」に対する意見を紹介する。

【あおられないためにドライバーが気を付けること】鈴木直也

 東名での死亡事故以来、いわゆる「あおり運転」に対する話題がメディアで盛り上がった。興味深いのが主にインターネットで「あおられ運転をするほうにも問題があるんじゃないか?」という議論があったことだ。

 もちろん、法律を遵守して走っているクルマを後ろからあおるという行為は褒められたものではないが、自分の胸に手を当てて「俺はあおり運転なんて一回もやったことがない!」と断言できる人は少ないんじゃないかな。

 例えば、前方が空いているのに、高速道路の追い越し車線をずーっとトラックと並走して走り続けている遅いクルマにイラついたこと、ありません?

 こういうドライバーは「リスクに対する感度が低い」と言わざるを得ない。無意味にトラックと並走したら緊急時の逃げ場が狭くなるとか、後ろが詰まればイラついた後続車がスキを見て左から抜きにかかるかもしれないとか、わざわざ危険のタネを自分から招き寄せていることに気づいていない。

 つまり、「あおり運転」と「あおられ運転」はセットで存在するということ。この考え方はなかなか的を射ている。

 クレバーなドライバーなら「君子危うきに近寄らず」と考える。渋滞時の追突事故を考慮してなるべくトラックとは車間距離を開けるし、後ろから飛ばしてくるクルマにはサッと道を譲ってしまう。

 みんながもう少しだけ周囲のクルマに対するセンサーを敏感に働かせれば、クルマの流れはずっとスムーズになるし、あおり運転なんていうアホな行為も減るんじゃないかと思うんだけど、いかがでしょう?

警察による取り締まりは今後も続く。どこまでがあおり運転なのか基準も設けられるかもしれない
警察による取り締まりは今後も続く。どこまでがあおり運転なのか基準も設けられるかもしれない

【取り締まりは危険性で判断すべし】国沢光宏

 ひと口に「あおり運転」といってもケースバイケース。強引に前に割り込まれた直後だと、当然のごとく車間距離短め。この状況だけ切り取って「車間距離不足」と言われちゃえばいかんともしがたい。 

 また、クルマの流れには波があるため、たまたま車間距離が極端に短くなることだってありうる。これまたあおり運転に見えるけど、内容からすればまったく違う。

 大型トラックのように流れより低い速度で追い越し車線を走っている車両に対し、軽い抗議のため車間を詰めることも。

 こういったケースだと万一乗用車が大型トラックに追突したとしても、トラックにほとんどダメージなし。むしろ心情的にジャマをしたトラックが悪いとさえ思う。

 大型トラックのドライバーだって目の前を制限速度から20km/hも遅いまま走り続けられたらイライラして抗議のため普通より車間距離詰めると思う。 

 個人的にはここに書いてきた程度までなら、あおり運転に含まなくてもいいと思う。取り締まるべきかどうかは、危険性で判断してほしい。

 ただ速度違反にも言えることながら、警察の取り締まりは短い時間であっても容赦ないからアカン。現場の警官に広い裁量権を与えてしまったら、際限なくなります。

 個人的にあおり運転として成敗すべきは、自分の車両より軽い車両に対して車間距離を詰めるようなケースや、誰がどう考えても危険な車間&速度であおる運転。

 もしくは強引な追い越しなどして前に割り込み急ブレーキかけるケースなどに絞るべきだと考えている。バイクに対する危険行為も厳格に取り締まりたい。ということで私は現状の警察の対応には懐疑的です。

次ページは : ■【編集部まとめ】あおり運転は免停にもなる重大な交通違反

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