■直噴の先駆者・三菱GDIの果たした役割は大きい
トヨタも「D-4」と呼ぶ2.0Lの3S-FSE型直噴直列4気筒エンジンを実用化し、コロナプレミオに搭載した。D-4エンジンはストレートポートに気流制御弁を組み合わせ、タンブル流にするとともにインジェクターのノズル部分も噴霧をより微粒化できるように改良したものだ。
だが、生産性の悪いD-4エンジンは一部だけにとどめている。アルファロメオも三菱からGDIエンジンの技術供与を受け、直噴エンジンを投入した。
その後、ストイキ(理論空燃比)での直噴も可能となり、2000年以降は均質燃焼方式の直噴エンジンが増えてくる。また、直噴方式を採用した小排気量エンジンにターボを組み合わせ、余裕ある出力を発生させながら燃費の悪化を防ぐダウンサイジングターボも登場した。
が、三菱はGDIエンジンに見切りを付け、2007年に生産を打ち切っている。
京都議定書で温室効果ガス、CO2の排出量を抑える削減目標値が明示される前に三菱は燃費のいいGDIエンジンを実用化し、発売に移した。三菱の英断は讃えられるべきだろう。
今、自動車用のエンジンを見回すと、その多くが直噴エンジンとなっている。先駆者の常でトラブルが多発し、一時的なヒットにとどまった。だが、三菱GDIエンジンが果たした役割は果てしなく大きいと言えるだろう。
三菱がGDIエンジンを送り出さなければ、直噴エンジン時代の到来はかなり遅くなっていたはずだ。
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