■トヨタ車の長納期がレクサスに影響した例も
●3代目ハリアー/初代レクサス NX
2013年7月に登場した3代目ハリアー。最長の納期目安は2014年初旬に記録した、8か月以上だった。納車の目安は同年の8月以降となる。
このハリアーの納期長期化は、2014年7月に登場したレクサス NXにも影響を与える。2014年頭に注文したハリアーよりも、2014年初夏にNXをオーダーしたほうが、納車が早くなるという事態に陥る。
どちらもカテゴリーの近いSUVで、価格帯も似ている。そのため、NX先行受注の段階で、ハリアーをキャンセルして、NXの注文に切り替えるという人を、筆者は当時、レクサスで対応してきた。
NXの登場が、ハリアーのオーダーキャンセルを助長させていることは明白であり、同じトヨタの一員として居た堪れなくなった思い出がある。
レクサスの納期はトヨタに比べ長く、長い納期には慣れていた筆者だが、NXとハリアーの長納期対応には、非常に頭を悩ませた。
●レクサス LS500・LS500h
2017年に登場したLSの現行モデルは、先行受注の段階から長納期覚悟のクルマだった。
各店舗に対し、配車台数だけでなく、エンジン別、グレード別の初期配車枠が決められているという前代未聞の状態。先行オーダーを入れる予定のLSオーナーとは、車両詳細が判明する前に、新車のエンジンやグレード、駆動方式などを細かく決めておかなければならず、店舗内でも初期配車枠の調整は難航した。
初期オーダーの3か月以上前から話をはじめ、オーダーを入れてから3か月後に出来上がる。オーナー側からすると、話を始めてから納車まで6か月以上かかる注文だ。
想定していたグレードから変更するとなると、さらに納期は延びる。結果的には最長で、1年弱待ってもらったオーナーもいた。
これほどまでに早く営業活動を開始し、車両全容が見えないままに注文を受けたクルマは、後にも先にも、このLSだけである。
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新車は、注文から納車まで1か月以上の時間がかかる。メーカーや販売店にとっては当たり前の時間なのだが、ユーザーは一日でも早く納車をして欲しいと思うだろう。購入者に新車が届くワクワク感を、途切れさせないようにするのが、販売店や営業マンの役割である。
長納期の顧客対応は非常に難しい。買い手の気持ちが途切れてしまえば、キャンセルやクレームにも直結してしまう。何よりも密なコミュニケーションが必要なのが、長納期に対する対応だ。
半導体不足が解消し、一日も早く、新車の生産体制が落ち着くことを、切に願っている。
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