梅雨が明けた途端、猛暑に包まれた日本列島。35℃を超える猛暑日の場合、夏の車内はどれくらいの温度になるのか、ご存知だろうか。強い陽射しが照りつける中クルマを放置すると、30分で室内の気温は50℃を超えることが珍しくない。さすがにそこからの上昇は緩やかになるようだが、最大で60℃を超えることもある。
車内の空気はダッシュボードやシートなどが熱せられたことで暖められているから、その発熱体となるダッシュボードは80℃近くの高温に達することもあるのだ。これはボディカラーやダッシュボードのカラーによっても多少の変化はあるが、猛暑下の陽射しでは最終的には5℃くらいの違いしかなくなる。それほどに熱くなるのだ。
そんな環境下で置きっ放しにしてはいけないモノの筆頭が電子機器、すなわちスマホやノートPCなどだ。これらには動作保証温度(動作温度、動作環境温度、動作周囲温度という表現もある)というものがある。これは、その温度の範囲内で使用することで正常な動作や本来の性能を保証するという条件だ。
文/高根英幸
写真/Adobe Stock、ベストカー編集部(トビラ写真=Adobe Stock@yamasan 2)
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■スマホ、ノートPCは動作温度、保存温度に注意
例えばiPhoneの動作温度は0℃~35℃とされており、一般的なスマホはほぼ同様のレベルと思っていい。これは外気温であって、動作中のスマホ内部の温度はもっと高温になっている領域もある。したがって、外部から熱せられた状態では、スマホ内部の冷却はおろか、逆に熱を内部に伝えてしまって正常に動作しなくなってしまうのだ。
さらに非動作での保証温度(保存温度とも呼ばれる)、つまり保管状態でも環境条件を定められているケースも少なくない。すべてのPCでそうした条件を公開している訳ではないが、日本のPCメーカーは比較的検査も厳格で項目も多い。それらのデータによれば、非動作での保証温度は60℃程度。つまり、真夏の車内はギリギリの環境で、危険スレスレと言ってもいい状態なのである。
ちなみに動作中の内部温度の話をすると、インテルのCPUは105℃でセーフモードに入ると言われている。つまり、そこまで高温にならないように常にヒートシンクとファンで冷却されているが、周囲の温度が高ければ、その熱交換も上手くいかなくなる。それでも一時的に使用不能になるだけならまだいい。
それよりもPCでダメージが大きいのは、電源部やバッテリーだ。リチウムイオンバッテリーは電解液に有機溶剤を使用しているため、温度が上昇するとバッテリーケースの膨張や発火などの危険性が高まる。電源部には電気二重層コンデンサーなどが採用されており、温度が上昇すると寿命がそれだけ短くなる。保存温度を超えれば、すぐに壊れる、ということはないが、確実に寿命は短くなる、ということを覚えておくべきだ。
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