新車未登録GT-Rがなぜオークションに!? ディーラーで未登録状態のクルマを納車できるのか

新車未登録GT-Rがなぜオークションに!? ディーラーで未登録状態のクルマを納車できるのか

 先日、2002年に製造された、日産スカイラインGT-R V-SPEC II ニュルが、ヤフオクに出品され、6000万円を超える金額で落札された。このクルマは新車未登録の状態であり、走行距離は、わずか10kmだ。

 なぜ、GT-Rは未登録のまま、オークションに出品されたのだろうか。今回は、このGT-Rの「新車未登録」という状態が、なぜ注目されるのか、元自動車ディーラー営業マンの筆者が解説していく。

文/佐々木亘、写真/NISSAN、AdobeStock

【画像ギャラリー】時の悪戯が生み出した夏の幻……V-SPEC II ニュルの元となったスカイラインR34 GT-Rを見る


■未登録の証であり、滅多にお目にかかれない完検証

GT-Rは完成検査証(完検証)付の状態で出品された。完成検査証とはクルマが工場出荷される際に厳密な完成検査を受けていることを証明する超重要書類だ(画像は出品車ではありません)
GT-Rは完成検査証(完検証)付の状態で出品された。完成検査証とはクルマが工場出荷される際に厳密な完成検査を受けていることを証明する超重要書類だ(画像は出品車ではありません)

 GT-Rは、完成検査証(完検証)付の状態で出品された。完検証は、クルマが工場出荷される際に、厳密な完成検査を受けていることを証明する書類だ。この書類があれば、運輸支局へクルマを持ち込まなくとも、書類だけで登録(ナンバー取得)が可能となる。自動車登録における、超重要書類である。

 自動車の登録は、各地域の運輸支局へクルマを持ち込み、検査する必要があるのだが、年間に300万台以上の新車が登録される日本で、1台ずつ運輸支局で検査するのは不可能に近い。

 そこで、各メーカーは「製造したクルマは、自動車検査員資格を持った人がチェックして出荷するので、登録時の車体検査は免除してください」と申請を出す。許可が下りれば、メーカーは製造後に検査を行い、完成検査証とクルマを販売店に送るのだ。

 超重要書類である完成検査証は。販売店の中でも厳重に管理され、限られた人しか書類を見ることは無い。筆者も、何度か目にしたことがあるだけだ。

 一度でも登録を行えば完検証は無くなってしまう。また、完成検査証の有効期限は9か月と決まっているので、販売店の展示車や在庫車は、この有効期限が切れないように管理されている。

 展示車であれば、半年に1回程度、入替作業を行い、完検切れになる前に販売するか、自社登録して試乗車等に利用する。新車が未登録のまま、何年も放置されることは、基本的には無いと考えていい。

 稀なケースになるが、限定車などを展示目的でメーカーから仕入れ、長い間ショールーム置いておく販売店がある。

 事前にメーカーへ打診を行い、長期的に登録されないクルマであることを了承されたのちに、ショールームで厳重に管理されるのだ。もちろん、新車販売はできないし、間違っても未登録のまま、引き渡されることなどありえない。

 今回出品されたGT-Rは、生産台数が非常に少ない特別モデルだ。もしかすると、過去にはディーラーショールームや、博物館のような場所で、展示車として保管されていた可能性が高いのではないかと、筆者は考える。

次ページは : ■収益の認識ができる「登録」

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

トヨタGRスープラと日産GT-R、遂に最終章へ!? 現・音羽の不夜城で作った最後のベストカー4月10日号、堂々発売!!

トヨタGRスープラと日産GT-R、遂に最終章へ!? 現・音羽の不夜城で作った最後のベストカー4月10日号、堂々発売!!

国産旗艦スポーツカー2車種が最終章に突入! Z世代VS最新スポーツカー、ホンダ最新車分析などパワフルな企画目白押し! 現・音羽の不夜城で作り上げた最後のベストカー、4月10日号テイクオフ!