■既存車両への後付装着も可能な高精度な計量システム
スケールダンプは、ボディの3個のロードセル、サブフレーム前方(エンジン後方)のロードセルシリンダー、シャシー左側のロードセルシリンダー用パワーユニット、鳥居部の外部表示計、キャブ内の表示計&操作スイッチで構成される。
3個のロードセルのうち2個はボディ後部のヒンジ部、もう1個はボディ前側に搭載。計量はロードセルシリンダーを伸ばしてシャシーからボディを浮かせ、3個のロードセルすべてにボディの重量を載せて行なう。計量した積載重量は鳥居とキャブ内からリアルタイムに確認可能(10kg単位)だ。
ちなみに、装置の開発を行なった極東開発工業によると、3点計測は「モノの計量において一番バランスがいい」とのこと。4点だと1点が浮いて正確に計量できない場合があるのだという。
ロードセルシリンダーはダンプトラックの荷台を持ち上げる装置とは別モノの、スケールダンプならではの装置。別体型のパワーユニットにより駆動し、車種・年式にもよるが既存車両への後付装着も可能となっている。
■実際の現場で正確性を証明! マーキングの範囲拡大も視野に
スケールダンプのトライアル運行は、大林道路が施工する東京・港区の「都道新橋日の出埠頭線(都道481号線)横断歩道移設工事」内で行なわれた。
同工事は東京港・日の出エリアの再開発に伴うもので、新たに商業施設をつくるにあたってJR浜松町駅と日の出桟橋のアクセスを改善するため、横断歩道を移設するもの。
現場に持ち込まれたスケールダンプのプロトタイプは日野レンジャーGK系3軸6×4シャシー(車両総重量20t級/最大積載量11800kg)がベースの中型増トンダンプ2台。どちらも大煌工業の既存車両に装置を後付装着したものである。
トレーラで現場に運ばれた切削機の配置が終わると、前方で待機していたダンプがバックして切削機のベルトコンベアの下にスタンバイ。切削機とダンプを5~8km/hで低速前進させ,削ったアスファルトを積み込んでいく。
スケールダンプの特徴の1つに、低速で走行中にも計量が行なえる点が挙げられる。もちろん精度は静止時に比べ落ちるが、鳥居部にリアルタイム表示される数字はかなり正確かつ、切削機のオペレータや周囲からも確認可能だ。
今回のトライアル運行では1台あたり2回の運行で処理場のトラックスケールの数値(実際の積載量)とスケールダンプの誤差を検証。結果は8.5tのマーキングに対して実際の積載量が8.45t~8.62tと、かなり正確な数値を記録している。
大林道路によると、スケールダンプの本格導入に合わせてマーキングを最大積載量の500kg手前まで引き上げたいとのこと。もちろん最終的には最大積載量ギリギリまで引き上げるのが目標だが、そのためにはもっと市場で実績を積んで、さらに精度を高める必要がありそうだ。
なお、スケールダンプは今回のトライアル運行を経て製品化が実現。量産型はブラッシュアップされたデザインとともに、計量記録をキャブ内表示計のUSBポートから取り出してPCに保存する機能などを備えている。
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