クロネコヤマトの宅急便専用車 なぜ絶版に? トヨタ屈指の珍名車「クイックデリバリー」の足跡

クロネコヤマトの宅急便専用車 なぜ絶版に? トヨタ屈指の珍名車「クイックデリバリー」の足跡

 「クイックデリバリー」というクルマをご存じだろうか。車名を聞いてもピンとこない方が多いと思うが「ヤマト運輸の宅急便トラックを知っていますか?」と聞いたらどうだろう。あの特徴的なトラックが、頭の中に浮かんでくる方も多いはずだ。

 クロネコヤマトの特徴的なトラックは、クイックデリバリーという。宅急便のほかにも、イベントで見かけるキッチンカーとして使われることが多い。私たちは知らぬ間に、生活の中でクイックデリバリーに大変お世話になっている。そんな知られざる名車、クイックデリバリーを紹介していきたい。

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA

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■「立って作業できるバン」を実現したクイックデリバリー

1982年に登場したハイエースクイックデリバリー。低床シャシーに背の高いバンのボディを架装することで「立って作業できるバン」を実現した

 クイックデリバリーは、ヤマト運輸(現ヤマトホールディングス)からの「荷物室内で立って作業ができるバンがほしい」という声から生まれたものだ。

 一般的なトラックでは、荷物の積み込みは楽だが、配達の際には、ドライバーが車外に出て、トラックの荷台を開け、荷物を降ろす。この作業は、大きな時間のロスだった。また、トラックが大きくなると、住宅地などの狭い道の運転が苦しい。

 一方で、狭い道でも難なく走れるキャブワゴンでは、積み込める荷物の量は少ない。さらに、かがんだ体勢で重い荷物を動かさなければならず、体に堪えるのだ。

 そこで、ヤマト運輸は、大きな荷室を持った、ウォークスルーバンを試作車として提案した。これを市販化したのが、クイックデリバリーである。

 1982年に登場したハイエースクイックデリバリーは、ハイエースジャストロー用の低床シャシーを使い、キャビン一体で極めて背の高いバンのボディを架装することで、1785mmの荷室高を確保する。

 これにより、運転席と荷室の間を立ったままでの往来することが可能になった。また左ドアからの運転席への出入りも容易にできる構造とし、サイドドアはスライド式を採用。狭い道での乗降性を高めるための工夫をしている。

 販売開始当初は、ヤマト運輸専用車として販売されていたが、他社や一般ユーザーから購入したいという声が高まり、のちに一般販売も開始される。

■幾多の改良と専用車への回帰

1985年に登場した2代目には積載量2tのダイナクイックデリバリー・トヨエースクイックデリバリー(のちのクイックデリバリー200)が追加された

 1985年、2代目クイックデリバリーが登場する。従来までの積載量1.25tに加えて、積載量2tのダイナクイックデリバリー・トヨエースクイックデリバリーが追加された。

 1995年にはマイナーチェンジをおこない、ハイエースクイックデリバリーはクイックデリバリー100、ダイナ・トヨエースクイックデリバリーは、クイックデリバリー200へと改称される。

 2000年、クイックデリバリー100が生産終了となり、クイックデリバリー200だけが3代目へ進化を遂げる。カクカクした初代・2代目から、丸みを帯びたルーフに変更された3代目は、柔らかさを感じられるデザインとなった。

 同じく2000年に、クイックデリバリーは一般販売を終了する。初代の初期と同じように、またヤマト運輸専用モデルとして生産されることとなった。

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