最近認知度が上がってきた個人間カーシェア。そこで近頃増えているのが「ありえない」ドライバーとのこと。多くのユーザーは問題なく利用できているようだけど、中にはひどい人もいるようで、その言動に困り果てているオーナー(クルマを貸し出す側)に取材してみた。
文/加藤久美子
写真/Adobe Stock(アイキャッチ写真:Adobe Stock@Sakosshu Taro)
【画像ギャラリー】個人間カーシェア最大手 「Anyca」人気車種ランキングBEST10
■個人間カーシェアとは?
1台のクルマを複数人でシェアしあう「カーシェアリング」には、タイムズカーやカレコなどの『レンタカー型カーシェア』と、Anyca(エニカ)やGO2GO(ゴー・トゥー・ゴー)に代表される『個人間カーシェア』の2つがある。今回はその個人間カーシェアで起きているトラブルのお話。
個人間カーシェアでは一般的にクルマを貸す人のことを「オーナー」、そのオーナーのクルマを借りる人のことを「ドライバー」と呼び、専用アプリを介してマッチングが成立するとドライバーはクルマをシェア。オーナーはその「シェア料金」をドライバーのクレジットカードを介して受け取る仕組みだ。
シェア料金はオーナーが好き勝手に決められるわけではなく、車両の購入金額や各種の税金や駐車料金、自動車保険など、クルマを所有し良好な状態で乗り続けるための費用をもとに、運営会社の専用アプリでシェア料金の上限が決められる。オーナーはその上限料金以下にてシェア料金(24時間)を設定することになる。
「わナンバー」の有償貸渡しにならないよう、あくまでも「経費を按分」してオーナーとドライバーがその車両を「共同使用」するという形になる。
クルマを所有しているが「乗るのは月に数日……」というオーナーにしてみれば、空いている時間に利用してもらって維持費の一部としてシェア料金をうけとることができる。ドライバーにとっては、レンタカーなどでは借りられないスポーツカーなど、様々な車種を手軽に体験できるのが大きな魅力だ。
若者を中心に増えつつある個人間カーシェアの利用だが、やはり「個人間」ということでトラブルも数多く発生している。ライトなトラブルから、詐欺横領に相当するヘビーなトラブルまで紹介してみたい。
■(1)日本語がわからないドライバーはご勘弁
外国人ドライバーでも日本で有効な免許証を所有し、所定の手続きを経て運営側の審査に通ればドライバーとして登録することが可能だが、実際、外国人ドライバーとの間にトラブルも多く発生している。
「メッセージの時にはとても上手な日本語で安心していたのに、いざ、クルマを受け取る際に会ってみたらほとんど日本語が話せない。日本語がまったくできない方はお断りしているが、最近では受け渡しの時まで把握できない方も多い」
「外国人ドライバーに貸したらクルマをぶつけて返されました。ドライバーは否定し、運営会社も保険会社も冷たい対応でした。何の過失もないオーナーよりもドライバーに有利に動くんだなと思って悲しくなりました」
「4人乗りのクルマに5人乗って返しに来たことも…乗車定員も知らなかったみたい」
■(2)いきなり予約
シェアを希望する場合、いきなり予約を入れるのではなく、まずはアプリ内のメッセージを通じてオーナーにあいさつしたり、希望日時にシェアが可能かなど聞いたりするのがマナーだ。
しかし最初の問い合わせをせずいきなり予約を入れてくるドライバーもいるという。
「問い合わせなしにいきなり予約してくる方は紹介文や注意事項などを読んでないので、事あるごとに『聞いてない!!』と騒ぎだします。必ず紹介文を読んでから当日を迎えて欲しいですね」
「個人間カーシェアのシステムを良く分かっていない人がたまにいます。予約方法に関しても、『金払ってるんだから文句言うな』的な人もいて精神的に疲れます」
■(3)ガソリン満タン返しが適当。財布失くして払えない?
レンタカーでもカーシェアでも、「ガソリンは使った分だけ最寄りのスタンドで給油して返却」が基本なのだが…。
「返却場所が渋谷なのに、『ガソリンは海老名SAで入れてきた』など平気で言う人もいます。海老名から渋谷までは約40kmもあるのですが…」
「ガソリンが満タンではなかったのでレシートを見せてもらったらなぜか金額が2000円ちょうど。その方は『満タン』の概念が分かっていない? いつも一定の金額を設定して給油しているとのことでした」
「返却時、ガソリンが入ってなかったので聞いたら『ドライブ中に財布を失くしたので今は払えない』と。ウソっぽいけどサポート経由で請求してみます」
■(4)チャイルドシートや車内を汚しまくっても平気
常識では考えられない行動を平気でやってしまうドライバーも数多くいる。『洗車はしないでください』と注意事項に書いているのに洗車するドライバーもいる。
「無償で貸しているチャイルドシートは毎回、台車で運んで取り付けています。もちろん毎回洗濯しています。でも、子どもの食べこぼしやお菓子のカス、床は泥だらけ…壮絶に汚しても一言のお詫びもなく返却されることも良くあります。」
「気持ちよく使ってもらおうと、時間をかけて掃除をして渡したんですがたった1日でここまで汚れるのか? と思うくらい汚れて返って来たことも何度か」
「洗車には気を使っているクルマなので『洗車不要』と書いていたにも関わらず、洗車&コーティングまでしけ返却されたことあります。大変迷惑。洗車不要の意味がわかってないのでしょう」
■(5)返却時、キズを発見しても全力で否定!最悪、音信普通になることも
個人間カーシェアのドライバーはクルマを所有したことがない人も多く、修理代金の感覚が大幅にずれている人もいる。
「クルマが戻って来た時に、ホイールに大きなガリ傷がありました。修理代(免責分10万円)払うから!って言われていましたが結局その後音信不通に。泣き寝入りです」
「結構大きなキズがついて返されました。ドライバー曰く『5万円払うからいい?』って金額を決めて言ってきたんです。結局、修理代は40万円かかり、免責分の10万円を払ってもらいましたが、勝手に金額を決めるな!って感じで腹立たしいです。」
■(6)走行経路や距離を大幅に偽る
1日の走行距離に制限を設けて、超過した距離に対しては別途料金を請求するオーナーも存在するが、超過距離料金を払うのが嫌だからか?とんでもないウソをつくドライバーもいる。
「予約の際、『三郷のコストコまで彼女と買い物に行くので借りたい。渋谷スタートなので距離は往復100km以下』と言ってました。言動に不審なところがあったのでGPSで追っていたんですが、ふと気づくと埼玉方面ではなく神奈川方面に向かっていました。沼津で数時間滞在し、再び渋谷に戻って走行距離は300km超。私は1日走行距離に制限を設けて超えると超過料金をいただいていたのですが…」
返却前に、「オドメータ―の写真を送ってください」とお願いしたら写真が届いて、そこには300km以上走行の証拠が。でも、なぜか頑として認めない(苦笑)
「三郷にしか行ってないから100kmも走ってない! メーターが壊れているんじゃないですか?」なんて言い出す始末。その場で請求しないと逃げられる可能性大なので超過料金は渋々払ってもらいました。
■(7)運転が下手 エンジンの掛け方が分からない
「貸し出す前に初めてのドライバーさんには駐車場を一周してもらうんですが…こちらが説明をしていたにもかかわらず、エンジンの掛け方が分からず始動するまで10分以上掛かっていました。やっとエンジンがかかったと思ったら、今度はフラフラ、よろよろで運転がびっくりする位下手。あまりにも不安が大きかったのでその場でお断りをしました」
■(8)ドラレコを勝手にオフにする
「やましいことがあるのでしょうか? ドラレコの電源を勝手に切られていたことが何度かありました。意図的に電源を切ったとしか考えられません。そういう人には二度と貸しません」
「クルマが大きく凹んで返却されたので、ドラレコを確認しようとしたらなんとSDカードが初期化され、しかも奥まで刺さっていませんでした。私自身が奥まで挿していなかった可能性もあるので何も言えませんでした」
■(9)オーナーが知らない間にクルマを売却!
今年に入ってからとくに増えているのが、「借りパク」(借りたあとパクる、いわゆる横領)である。
個人間カーシェアを介した「借りパク」はこれまでに何回か発生しているが最近の傾向としては、オーナーにクルマを借りる前にジモティーなどのフリマサイトに出品され、すでに売買契約が成立した段階でオーナーからクルマを借りて「買い手」のところに届けるという方式だ。
このような事件の場合、ドライバーは「エニカでクルマを借りて指定場所まで届ける」という単なるバイトとして雇われているケースがほとんど。もちろん、バイト代を受け取ることもなく犯行グループはお金を受け取ったら姿を消すのでドライバーも被害者なのである。
なお、個人間カーシェア最大手のエニカでは、激増するトラブルに対応すべく2021年7月21日から「カーシェアプロテクテクト」という新サービスを展開している。オーナーがエニカに支払う手数料は2~3倍以上となり、保険料も大幅に値上がりしたが、免責ゼロ特約(+1400円)のシステムが好評。
とはいえ実際にトラブルに遭遇した複数オーナーに聞くと、新たな24時間サポートは長時間待たされた挙句にこれまでとほぼ同じ対応で、特に改善されているわけではないそうだ。




コメント
コメントの使い方