■日産のピンチに新型Zが投入される!?
とはいえ前述の通りミスターKは日産の経営陣から嫌われていることに変わりなかった。私がこの業界に入った1980年代にはすでに御勇退されていたが、それでも日産との関係はギクシャクしていたほど。
そのためミスターKの代表作となるZも日産の興隆に大きく流されてきた。1980年代に入り、日産はつまらないクルマを連発。
経営が傾いてしまう。この時に重用されたのはZだった。1989年、全てを新しくしたZ32をシカゴショーでワールドプレミアする。同じ時期に出したQ45についちゃ大ゴケしたものの、Z32は日産のブランドイメージをキッチリ出せたと思う。
そんなZだったものの、やはり生産台数が少なく利益率という点では厳しく、放置されてしまう。
バブル崩壊で業績悪化する一方の日産からすれば、効率が悪いスポーツカーなど作っている余裕無し。そうこうしているウチ、2兆円もの有利子負債を抱えニッチもサッチも行かなくなった時にやってきたのが、カルロス・ゴーンだった。
日産のブランドイメージ復興のため、厳しい財政事情の中、ZとGT-Rの開発を命じる。
興味深いことにこの2モデルの開発再開をすることで日産のモチベーションはイッキに上がる! 同時に「これで日産も復活だ!」という強力なメッセージになったのだろう。
ユーザーからの期待値も急上昇。カルロス・ゴーンの狙いは当たった。されどZ33を見ると新しさ無し。価格も上昇し、販売台数という点では成功したと言えなかった。
ということで新型Zを見ると、スポーツカーを出すという点では素晴らしい効果だと思う。昨年行ったプロトタイプの発表ですら多くのメディアが取り上げ、反応も抜群だった。日産としちゃ大いなる手応えだったことだろう。今回も大きなニュースとなるに違いない。やっぱりスポーツカーって自動車産業の華です。
ただ冷静に考えてみたら「新しさはないですね」。Zが成功した最大の要因は「誰にでも手頃に買えるカッコ良いクルマ」という点にあった。新型Z、初代をモチーフにするなどデザインは素晴らしい!
一方、サイズなどを考えると新しさに欠ける。ただ『Z』をエンジンだけで走る時代のクルマの最後だと考えたら、存在意義は大きいと思う。
コメント
コメントの使い方