マスタングファミリーで最高のパフォーマンス
マッハ-Eには68kWhの「スタンダード」と88kWhの「エクステンデッド」の2種類のバッテリー容量が用意され、後輪駆動か4WDシステム「eAWD」を選択できる(グレードによっては後輪駆動のみ)。
このうち最も高性能なグレード「GT」には88kWhのバッテリーとeAWDという組み合わせにより、480psという高出力が与えられる。最大トルクは標準のGTで600lb.-ft(813Nm)、さらなる高性能版の「GTパフォーマンスエディション」だと634lb.-ft(860Nm)という強烈なトルクが発生する。
これにより0-60mph(約96.6km/h)加速はGTで3.8秒、GTパフォーマンスエディションで3.5秒となり、フォードによると、ポルシェ911GTSに匹敵するパフォーマンスだそうだ。
航続可能距離はGTで270マイル(約435km)、GTパフォーマンスエディションで260マイル(約418km)となっている。急速充電器であれば、約10分でおよそ59マイル(約95km)走行分を確保できる。また、45分の充電で容量の残り10%の状態から80%まで充電することが可能だそうだ。
マスタングであることの意義
2021年5月、フォードはEV開発のための投資を2025年までに300億ドル以上に増やすと発表した。これにより、フォードが世界で販売する車両の40%が2030年までにEVになると予測されている。
フォードの描くビジョンと伝統との融合はひとまず成功したと言えるだろう。実際のところ、マスタングマッハ-Eを購入したユーザーの70%はフォードの新規顧客であるとのこと。これまでマスタングに関心のなかったユーザー、そして高級SUVやEVというカテゴリーで魅力的なクルマを求めていたユーザーの獲得に成功したというわけだ。
これだけのパフォーマンスを持つクルマなのだから、V8の咆哮が聞こえなくても、後席ドアがあっても、「マスタング」ブランドと「Mach」の称号が与えられていても誰も文句は言うまい。「マスタング」というブランドを新時代に引き継ぐためには、このタイミングでガツンとピュアEVで脇を固める必要があった。今後、軸足をEVに移すための重要なプロセスだったのだ。
日本からフォードが撤退した2016年からわずか3年ほどで、これほどの高いパフォーマンスと実用性を兼ね備えたマスタングがリリースされたのは何とも寂しいことである。
一方で、日本でもバッテリー動力のみで駆動する電動SUV「アリア」が日産より発売されたことにより、EV市場のさらなる活性化が期待されている。その流れによっては、フォードの再上陸と日本市場でのマスタング復活もあり得るだろう。今後もEV市場の動向からは目が離せない。
コメント
コメントの使い方