新型シビック試乗で見えた!「シビックというクルマが映し出す日本市場」


 この9月3日、11代目となる新型シビックが発売となった。この11代目シビック、発表前にホンダの栃木テストコースで試乗する機会があったのだが、ハードウェア的には抜群にいいクルマと断言できる。

文/鈴木直也
写真/平野 学、HONDA

【画像ギャラリー】祝!(来年で)50周年を迎えるシビックに11代目登場!その全貌はコチラ!!


■新型シビックのシャシー性能は想像以上のクォリティ

 現時点でのラインナップは1.5Lダウンサイズターボのみだが、CVTで乗っても6MT(そう! 6MTが用意されているのだ)を走らせても、ドライバビリティは抜群。電動化ギミックは装備されていないけれど、ドイツ御三家の同クラスと互角以上の走りっぷりが堪能できる。

11代目「シビック」。5ドアハッチバックのボディに1.5Lターボエンジンを搭載。6MTも設定され、ルックス含め走りのモデルである。のちにハイブリッドの「e:HEV」や「TYPE R」も追加予定だ

 さらに、シャシー性能も予想以上にクォリティが高かった。

 第一印象としては気持ちいいニュートラルステアなので「やりすぎるとリアから来るかな?」と身構えたのだが、予想に反して最後まで安定した弱アンダー。テストコースだからタイヤの限界まで存分に攻めたが、ムチャなことをやってもぜんぜん破綻しないスタビリティの高さには舌を巻いた。

 この走り、個人的にかなり感銘を受けた。最近のクルマ(特に日本車)は「シャシー性能はアベレージでいいよね」という雰囲気があるが、シビックは今どき珍しいほどシャシー作りに情熱を燃やしている(ように見える)。

11代目シビックのインパネ。クーペの様に低い着座位置、凝ったエアコンの送風口がデザイン等、グローバルモデルらしい気合の入った造りだ。ただ最新の欧州勢と比較するとスイッチ類は多いか

 従来型シビックも「この価格帯のCセグではシャシーはベスト」と評価していたのだが、新型旧型を乗り比べるとその進化は歴然。この優れたハンドリング性能と質の高い乗り心地が両立しているのが素晴らしい。

日本での月販目標は1,000台。寂しい限りだが、日本で売る決断に拍手!!

 ところが、そんなクルマの出来のよさに比して、残念ながら世間の反応は実に静かだ。

 まぁ、日本市場ではこういうセダンタイプのクルマの人気は長期低落傾向で、同じセグメントのマツダ3やカローラなども苦戦しているワケだが、それにしても月販目標1000台というのは寂しい。

 新型シビックはクーペ風フォルムや使い勝手のいいハッチバックボディなど、セダンの不人気な部分を打破しようといろいろ模索しているワケだが、それでも目標は1000台(くどいか笑)。

 国内単年度でシビックがいちばん売れたのは1991年の5代目スポーツシビック時代で、合計18万5521台だからだいたい月販1万5000台。つまり、かつてはひと月で新型シビックの年間目標台数以上の数が売れていたワケだ。

1991年発売の5代目シビック。1.6LのVTECエンジンはNAエンジンながら170PSを発揮。4輪ダブルウィッシュボーンサスの熟成も極まり、まさに「スポーツシビック」そのものだった

 シビックの販売がこれほどシュリンクしたのは、クルマの問題ではなく市場構造の変化としか言いようがないだろう。

 シビックの国内販売は、5代目のスポーツシビックでピークをつけた後、バブル崩壊の影響が顕著になりつつあった6代目ミラクルシビックから緩やかに下降。2000年デビューの7代目スマートシビックの頃には、SUVやミニバンなど新しいジャンルの人気が急上昇したあおりで月販1万台を切るようになり、2005年の8代目ではついに日本市場は4ドアのみの販売に追い込まれている。

8代目はセダンのみ。インサイトと同一のハイブリッド車も設定するも、プリウスには対抗できず、販売不振に陥る。また日本におけるホンダ車の販売の主力の座をフィットへ譲ってしまった

 この時点で、初代SB1シビックで始まった「スポーティなコンパクトハッチバック」というコンセプトはひとつの終焉を見た、そういってもいいんじゃないかと思う。

次ページは : ■グローバルでは年間82万台を販売!その8割が北米で売れている驚愕の事実