生産工場の変更もフィットの足かせに
フィットの販売が低迷する4つ目の理由として、生産工場の変更も挙げられる。以前のフィットは寄居工場で生産したが、今は鈴鹿製作所が手掛ける。
ただし鈴鹿製作所は、N-BOXやN-WGNなどの軽自動車も生産しており、狭山工場の閉鎖に伴って今ではヴェゼルも扱うようになった。販売店からは「今はホンダの売れ筋車種が鈴鹿製作所に集中しており、そこに半導体不足の影響も加わり、フィットの納期は時々延びる」という話も聞かれる。
以上のようにフィットの販売低迷には、デザインなど車両自体の商品力、ヤリスやノートといったライバル車のフルモデルチェンジ、N-BOXの好調な売れ行き、さらに生産工場の移管など、いろいろな事情が関係している。
しかし車両の機能は優れている。全高が立体駐車場を使いやすい1550mm以下に収まるコンパクトカーでは、フィットは後席が最も広く、居住性はミドルサイズセダンに匹敵する。燃料タンクを前席の下に搭載するため、荷室容量も大きく、シートアレンジは多彩だ。
乗り心地はライバル車のヤリスよりも快適で、エンジンが4気筒だからノイズも小さい。ハイブリッドのe:HEVは、エンジンが発電機を作動させて、駆動はモーターが担当する。
そのために加速が滑らかで、アクセル操作に対する反応の仕方も自然な印象だ。しかもフィットのe:HEVは価格が割安で、1.3Lノーマルエンジンに比べると約35万円の上乗せに抑えたから買い得度も強い。
このようにフィットには、売れない理由が散見される一方で、メリットも多い。コンパクトカーを購入する時は、フィットも試乗すると良いだろう。フィットを知ることで、ヤリス、ノート、アクアなどについても優劣の正しい判断がおこなえる。
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