■その代車が選ばれた理由は、意外と深いかもしれない
販売店が用意する代車は、基本的に自分が保有するクルマのクラスと、同程度かそれ以上のものが用意されると思っていい。例えばクラウン・ハリアー・アルファードなどのオーナーに、「ヤリスが代車です」とはならないよう、営業マンは気を使う。
サービス代車の奪い合いは熾烈だ。ミドルサイズのセダンやミニバン・SUVなど需要の高いクルマからどんどんと埋まっていく。お店によっては1カ月先まで代車の予定はすべて埋まっていますということもしばしばだ。
点検代車をスムーズに手配するには、点検日の1か月以上前を目安に、早めの予約をすることをおすすめする。代車の調整もしやすくなり、希望のクルマに乗れる可能性は自ずと高まる。
点検代車は、駐車場に入らない、運転感覚が大きく変わるなどといった、ユーザーにとっての不都合が起こらないように、営業マン同士が話し合いながら融通しているわけだが、有限な資源だからこそ、希望にそぐわないケースがあることも承知しておきたい。
また、営業マンがそろそろ代替の時期だなと考えれば、比較的新しく、次に買ってもらえるクルマになりそうな代車を意図的に用意することもある。そういったクルマが試乗車にしかなければ、営業活動の一環として、試乗車をサービス代車として積極的に利用していく。
「次はこんなクルマを買いたいな」と言っておけば、サービス代車を利用する機会に、乗りたかったクルマを用意してくれる可能性も高まるはずだ。
代車の貸し出しは、店舗試乗ではわからなかった使い勝手などを、ユーザーに体験してもらうには非常にいい機会だ。腕のいい営業マンは、サービス代車一つにしても、こだわりを持って選んでいることが多い。
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筆者が現役営業マンだった頃は、代車を足掛かりに営業活動を行うことも多かった。貸し出したクルマを非常に気に入ってくれて、そのサービス代車や試乗車を、中古で購入していったオーナーもいる。
「短期間の代車だから何でもいいよ」ではなく、少しこだわりを持って代車を頼んでみると、ユーザー側のカーライフも楽しくなるだろう。次に借りるその代車が、あなたが次に選ぶマイカーになっているかもしれない。
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